自民総裁選 所見発表演説会(全文2)新自由主義的政策を転換
健康危機管理庁の設置に取り組む
特に経済対策については非正規、女性、子育て世代、学生など、コロナでお困りの方々、自粛に協力いただいている事業者の方々、米価の下落に大変苦しんでおられる農家の方々、こうした方々にきめ細やかな対応をしてまいります。その上で、感染症時代を迎えた今、将来の感染症危機発生にも備えた法改正、そして司令塔機能を持つ健康危機管理庁の設置、取り組んでまいります。 第2に、新しい資本主義の構築です。新自由主義的政策を転換いたします。市場や民間に任せればいいという時代は終わりました。国と民間が協働し、産業を興し、守り、そして国民生活を豊かにする、そうした経済が求められています。新自由主義政策は成長をもたらしました。しかし一方で、富める者と富まざる者の分断が生じています。また、コロナによって格差が拡大をいたしました。今から、今こそ、成長と分断の好循環による新しい日本型の資本主義を構築し、全国津々浦々、全ての皆さんに成長の果実、実感していただくときです。 まず成長については頑張る民間企業の挑戦、投資、大胆に支援いたします。産学官連携による科学技術とイノベーションを政策の中心に据えます。そして科学技術が生み出したシーズが海外でなくわが国、国内で産業化できるよう、スタートアップの徹底支援などを通じて新たなビジネス、産業創出に努めてまいります。 分配については、まず民間における分配、強化いたします。最近の日本企業を見ていると、利益が出ても賃上げは十分に行わず、配当を増やすなど短期的な利益を追求しています。企業が長期的な視点に立ち、株主のみならず多くの関係者を大事にする三方良しの経営を行うことができるよう、四半期開示の見直しなど基本的なルールの見直し、検討をしてまいります。
「令和版所得倍増」を目指す
こうした民間における取り組みを補完するのが公的な分配です。中間層の拡大に向け、分配機能を強化し、所得を引き上げる「令和版所得倍増」を目指してまいります。例えば子育て世代にとって大きな負担になっている住居費、教育費への支援、強化してまいります。民間に賃上げを求める以上、国自身も努力しなければなりません。賃金が公的に決まる看護師、保育士、介護士、こうした方々については公定価格を見直し、収入を思い切って引き上げます。 さらに成長の果実を地方に大胆に分配してまいります。新しい資本主義の象徴は地方です。5Gをはじめとするデジタルインフラの整備を進め、都市と地方の物理的距離を乗り越える、デジタル田園都市国家構想を実現してまいります。また、田園都市国家を支え、国際競争力を維持する交通、物流などのインフラを整備するとともに、災害に強い地域づくり、そして東日本大震災からの復興を進めてまいります。そして地域に寄り添い、現場を重視した多様な豊かさを持つ農業、農村を実現してまいります。多面的機能の維持や食料安全保障の観点から中小・家族農業や中山間地農業の支援を強化するとともに、米をはじめ、国産農畜産物の需給、価格の安定など農業者の所得向上に向けて政策を総動員してまいります。 そして第3に国民を守り抜く外交・安全保障です。世界の平和とわが国の安全を断固守り抜いていく。そのために3つの覚悟を持って臨みます。 まず、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的な価値を守り抜く覚悟です。権威主義的な体制が勢いを増す中、台湾海峡などの課題に米国、欧州、インド、豪州、あるいは台湾。基本的価値を共有する国、地域と共に毅然と対応してまいります。