なぜ浦和レッズの指揮官は規律違反のMF柏木陽介を「チームに受け入れることができない」と厳しく批判したのか?
指揮官のイズムをピッチで具現化させる役割をボランチに託すなかで、浦和の場合はロドリゲス監督と入れ替わるように、エヴェルトン(現ポルティモネンセ)、長澤和輝(現名古屋グランパス)、青木拓矢(現FC東京)とボランチを担う選手たちが移籍していった。 金子大毅(湘南ベルマーレ)や小泉佳穂(FC琉球)、ルーキーの伊藤敦樹(流通経済大卒)らの新戦力が加わったなかで、リーグ戦で9試合の出場に終わった昨シーズンからの捲土重来を期す柏木へは経験豊富なベテランとして、阿部とともにロドリゲス監督も期待を寄せていたはずだ。 しかし、戦力うんぬんという次元ではなく、新しい歴史を作り上げていく上でのクラブ全体の一体感を重視するなかで、二度目の規律違反は絶対に許さないというロドリゲス監督の意思が伝わってくる。実際、46歳の指揮官は「ピッチ内外で規律は守らなければいけない」と言い、こう言葉を紡いでいる。 「浦和レッズというチームを作っていく段階で、団結しなければいけないタイミングで、こういうことが起こってしまったのは非常に残念だし、まったくよくないと私は思っている」 13日には今シーズンからJ2に昇格するSC相模原を、ホームの埼玉スタジアムに迎えてのトレーニングマッチが行われる。今月末に開幕するJ1リーグへ向けて、いよいよ完成度を高めていく新生レッズのなかに残念ながら柏木の居場所はない。若手に背中を見せる存在でありながら責任感を欠く行為を繰り返し、クラブのなかで信頼を失った代償はあまりにも大きいものとなる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)