「アワー レガシー」創業者にインタビュー、65億円のビジネスの先に見据える未来
ニイン:とても熱いお湯で洗ったら服が縮んでしまったこともあって、通りがかりの人に別のやり方を聞いたりね。 ハリン:ドライクリーニングのことだね(笑)。 ニイン:そう、当初はドライクリーニングを教わるなんてこともありました(笑)。 ⎯⎯いまのブランド規模からは考えられないエピソードですが、ブランドビジネスとしてはCEOを招いたことも大きいですか? ハリン:そうですね。2年前に共同経営者としてリカルドス・クラレン(Richardos Klaren)を招いて、今は3人でアワー レガシーを動かしています。スウェーデンに、小さくも美しいショールームもオープンして、普段はそこで仕事をしています。 ⎯⎯ヴィジュアライズするという点において、グラフィックデザインや彫刻と、ファッションデザインに通じるところはありますか? ニイン:グラフィックデザインは自分がヴィジュアライズしたいことを平面でアウトプットして終わりではなく、紙質や素材まで選定するテクニカルな過程が必要ですよね。服作りも、コンセプトに基づいて素材感を想像してメソッドを選択していくプロセスです。そういう意味では、特に教育を受けていなくとも、何をヴィジュアライズしたいのかさえしっかりと持って入れば、グラフィックデザインでもファッションでも上手く形にできると思います。アイデアを模索して、それを実現化する方法を自分の手で見つけていくことの繰り返しだと思います。 ハリン:アワー レガシーの生産は、すべてポルトガルで行っているのですが、工場の方々とは毎回素敵なコラボが生み出せています。僕たちのアイデアにオープンでいてくれて、まるで自分たちの研究室かと感じるほどに、大きな規模で常に新たなチャレンジができています。 ⎯⎯これまでのお話を聞きながら、アワー レガシーがファッションブランドでありながらも音楽、カルチャーに興味のあるあらゆる人々に響いている理由が掴めてきました。 ハリン:僕たちはカルチャーだけに限定することなく、また先生のようにそれらを教えるようなブランドでもありません。ライフスタイルそのものを表現しているのがアワー レガシーで、生活というのは、食、スポーツ、アート、インスピレーション全てが美しくミックスしているものだと思います。日々の些細なことからインスピレーションを得て、さまざまな興味の共鳴を集めてできた世界が、私たちアワー レガシーなのです。