「卵子凍結」流れを不妊治療の専門医が解説 将来に向けて良質な卵子を保存するには?
将来、子どもを産み育てたいと望んではいるものの、仕事や家庭の事情などで、すぐに妊娠・出産するのは難しいという方は少なくありません。 そうした問題に一筋の光となるのが卵子凍結です。今回は卵子凍結の適応条件や治療の流れ、費用や補助金などについてShinjuku ART Clinicの阿部先生に解説していただきました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
将来の妊娠に備えるための不妊治療「卵子凍結」とは?適応条件や対象年齢について
編集部: 「卵子凍結」とはどのような治療ですか? 阿部先生: 受精前の卵子を採取し、将来の妊娠に備えて凍結保存することをいいます。受精前の卵子を凍結することを未受精卵凍結といいますが、そのほかに「受精卵凍結」といって、受精後に凍結する方法もあります。 編集部: 受精前の卵子をあえて凍結保存する理由は何ですか? 阿部先生: 未受精卵凍結には2つの側面があります。 一つは「医学的適応」です。がんや白血病、悪性腫瘍などを発症している場合、薬の副作用で卵子の数が減少し、卵巣機能が低下することで将来妊娠する力が損なわれることがあります。そうしたケースに備え、前もって卵子を凍結保存しておくことがあります。 編集部: もう一つの側面とはなんでしょうか? 阿部先生: 「社会的適応」です。卵子のもとになる卵祖細胞は、出生時には200万個あったものが思春期には30万個と次第に減っていき、新たに作られることはありません。 卵子の数は年齢を重ねる毎に減少し、卵子そのものの質も低下していくため、妊娠の確率も下がっていきます。今すぐに結婚や妊娠の予定がない場合でも、来たるべき将来に備え、少しでも若いうちに質の良い卵子を凍結して保っておくことが社会的適応の考え方です。 編集部: 社会的適応の場合、卵子凍結は何歳までに行うのが理想的ですか? 阿部先生: 医療機関によって考え方は異なりますが、私たちのクリニックでは妊娠した際の母体や胎児への影響などを考え、卵子凍結は20~39歳までを基本としています。実際の妊娠率や出産率も考えますと、36歳未満が理想的と考えます。