「卵子凍結」流れを不妊治療の専門医が解説 将来に向けて良質な卵子を保存するには?
卵子凍結の流れを不妊治療の専門医が解説 採卵方法やクリニックへの通院回数・凍結保存期間は?
編集部: 卵子凍結をするにあたっての流れを教えてください。 阿部先生: まずは基礎的な検査(ホルモン値、超音波検査、感染症検査など)を行います。その上で問題なければ、排卵誘発剤の服用や注射などで卵胞の発育を促し、採卵に適した状態になることを確認します。通常3~4回の診察が必要になります。 編集部 卵子凍結をするにあたっての流れを教えてください。 阿部先生: まずは基礎的な検査(ホルモン値、超音波検査、感染症検査など)を行います。その上で問題なければ、排卵誘発剤の服用や注射などで卵胞の発育を促し、採卵に適した状態になることを確認します。通常3~4回の診察が必要になります。 編集部: 採卵はどのような形で行われますか? 阿部先生: 卵胞が十分に発育したら、卵子の成熟を促す薬を使い、通常その2日後に採卵を予定します。採卵は、膣から細い針を卵巣に挿入して行います。強い痛みを伴う場合は局所麻酔や静脈麻酔を行い、最後に採取した卵子を凍結保存します。 編集部: どれくらいの期間、冷凍保存が可能なのですか? 阿部先生: 凍結した卵子は保存期間の長さによって質が落ちることはほとんどありません。そのため最長保存期間は医療機関によって異なりますが、女性の年齢が45~50歳くらいまで対応しているケースもあります。 保存は通常1年単位の契約となり、延長する毎に更新の手続きが必要となります。 編集部: 卵子凍結を行う場合、通院は何回くらい必要ですか? 阿部先生: 初診から採卵、経過観察などを含めるとだいたい5~6回程度、期間にすると1~2か月が目安です。
卵子凍結にかかる費用は? 保険適用や不妊治療の助成金・補助金はある?**
編集部: 卵子凍結にかかる費用はどれくらいですか? 阿部先生: 医療機関によって大きく異なるので一概には言えませんが、およそ30~50万円が目安になると思います。採卵の回数や凍結する卵子の数が増えれば、その分の費用も加算されます。また、治療とは別に保管費用が年間4~6万円ほど必要になります。 編集部: 卵子凍結は保険適用になりますか? 阿部先生: 現在のところ卵子凍結は保険適用の扱いがなく、日本のクリニックではどこも全額自己負担になります。因みに東京都では少子化対策の一環として、加齢やさまざまな理由による卵巣機能の低下によって卵子凍結を行う際、1人あたり最大30万円を助成しています。 編集部: 助成金制度の有無や金額は各自治体によって異なるのですか? 阿部先生: 現段階ではどこの自治体でも助成が受けられるわけではないのですが、今後は整備が進められていくようです。そのほかにも不妊治療をサポートする企業への助成金制度も整いつつあり、ご自分がそれを活用できるものか一度調べてみるとよいでしょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 阿部先生: キャリアの形成と出産のどちらを優先させるべきか、この問題に対処できるのが「卵子凍結」です。将来妊娠したいと思った時に備えて、質の良い卵子を保存しておくことは大きなプラスとなります。 もちろん将来の妊娠・出産を100%保証するものではありませんが、卵子凍結は女性のライフプランをサポートし、良き方向に導いてくれるでしょう。 今や社会的な認知度も拡大していて検討しやすい状況にあるので、興味がある方は自治体や医療機関で一度説明を聞いていただければと思います。