「頭じゃわかっていてもポジティブになれない!」更年期の心の不調は、3つの原因にあった【精神科医が解説】
更年期には、イライラや不眠、不安、恐怖、情緒不安定、易疲労感、記憶力の低下、抑うつ感などの心の症状が起こることがあります。更年期の期間、そんな自分と付き合っていくにはどうすれば良いのでしょうか。 【データ】10人に1人が、配偶者からの繰り返しDVを受けている 今回は、『心の病になった人とその家族が最初に読む本』の著者で、精神科専門医、指導医、精神保健指定医の広岡清伸先生に、更年期の心の不調に対するアドバイスをいただきました。 また広岡先生によると、心の病がきっかけで人生が豊かになるとのこと。更年期症状を乗り越える方法の一つとして教えていただきます。
更年期の女性に生じる心の不調。3つの原因とは
更年期の女性には、心の不調が現れることがあります。個人差はありますが、さまざまな種類の不調が起こり得ます。 広岡先生は、更年期女性の心の不調について、次のように解説します。「私は、45歳頃から55歳頃までの更年期の心の不調を、原因によって3つの種類に分けています」 3つの種類はこちらです。 ◆1◆ 女性ホルモンの低下によるもの 「更年期の女性ホルモンが揺らぎながら低下していくことが更年期の心の不調の直接の原因となります。イライラ、不眠、不安、恐怖、情緒不安定、易疲労感、記憶力の低下、抑うつ感等があります」 ◆2◆ 更年期の身体症状がストレス源となるもの 「更年期に生じる多彩な身体症状がストレス源となり、うつ状態などの心の不調を生じます。日本産婦人科学会では、身体症状を二つに分けています」 (1)ホットフラッシュ(突発的にくる頭部を中心としたほてり)、のぼせ、発汗などの血管の拡張と放熱に関する症状 (2)疲れやすさ、肩こり、頭痛、背中の痛み、腰痛、関節痛、めまい、かゆみを伴う皮膚の乾燥、頻尿、性交痛等のさまざまな身体症状など 「また更年期の女性は、身体症状に悩むことで美貌の低下と老いを感じます」 ◆3◆ ストレス反応によるもの 「更年期に訪れる生活の変化や生活習慣病がストレス源となり、ストレス反応などの心の不調を生じます。親の介護や性格の異なる夫が定年退職した後の同居生活は、大変なストレスになります。離婚となると経済不安が生じます。子どもの不登校、受験の失敗、離職、独立などの家族のさまざまな変化がストレスとなります。勤め先の人間関係のストレスも深刻になります。独身女性には孤立感と経済不安があります」 更年期の心の不調は、さまざまな原因があるのですね。 「更年期では、これらの3つが複合して心が不調になります。心の不調をこじらすと、心の病を発症します。心の変化、感情の変化、自律神経の変化、身体の変化、生活環境の変化、経済不安等がネガティブに連動し合っていて、それぞれが悪化します。 精神科では、更年期の環境変化に順応できなくなる心の病を適応障害と診断します。更年期にはストレスが多くなるので、更年期うつ病や既存うつ病の再燃・再発を好発します。既存の月経前不快気分障害(PMDD)がある更年期女性は、その症状を悪化させます」