【ジャパンC・生情報】少数精鋭のファンタスティックムーン陣営 女性調教師のワンオペで大仕事狙う
[GⅠジャパンカップ=2024年11月24日(日曜)3歳上、東京競馬場・芝2400メートル] 〝ディープインパクト産駒最後の大物〟オーギュストロダンを筆頭に、海外馬の精鋭3頭が揃ったGⅠジャパンカップ(24日=東京芝2400メートル)。中でもGⅠバーデン大賞を制したドイツのファンタスティックムーン(牡4・シュタインベルク)がミステリアスな雰囲気を漂わせている。 22日は火~木曜日と同じくダートコースでのキャンターを行うソフトな調整。無骨な印象がある〝ドイツ馬〟の字面とは裏腹に、ピッチ走法の素軽い走りを見せた。騎乗したサラ・シュタインベルク調教師は「昨日はレネ(ピーヒュレク)がハイピッチの運動をしてくれたので、今日は2000メートルを軽くキャンターで調整しました。とても満足していて、リラックスしている印象を受けました。私も馬の状態には満足しています」と状態面に胸を張る。 母国で躍進している女性トレーナーのシュタインベルク師。「私どもの厩舎は管理馬が20頭しかいない、比較的規模の小さい厩舎で、スタッフの数も限られています。ですので、レースへ出走するにあたって複数のスタッフを同行させるとなると、厩舎に残った他の馬を十分に管理することができなくなってしまうので、通常、私が一人で同行しています」と来日からつきっきりで続く〝ワンオペ調整〟の背景を説明した。当日もこれまでと同様、パドックでは指揮官が自ら馬を引く。木曜日の調整で騎乗したパートナー、ピーヒュレクとの二人三脚で大一番へ臨む。 その背景について「ドイツの厩舎は日本(JRA)とシステムが異なっていて、スタッフ1人で5頭の馬を担当しています」と環境の違いについて解説。続けて「少数精鋭ということなので、スタッフ同士が密接に連絡を取り合うことでチームワークを築けています。スタッフ同士の関係もとても良く、常にリラックスした環境の中で調教を行えています」。言葉の端々に、留守を託す本国のスタッフへの確かな信頼がうかがえた。 強度は軽くとも、濃密な調整を積んできたファンタスティックムーン。「速いペースのレースを得意とする馬ですし、強みである末脚を発揮できたら十分可能性はあると思っています」とシュタインベルク師は末脚が生きる展開を望む。注目度が高いのは広大な調教場とスケールの大きな陣容で実績を残すオーギュストロダン陣営だが、少人数だからこその柔軟性を強みとするファンタスティックムーン陣営が〝柔よく剛を制す〟のシーンを演出するかもしれない。
東スポ競馬編集部