ギリシャで“ベンチ外”続く香川真司のJ復帰はあるのか?
2017年2月にはセビージャに所属していたMF清武弘嗣が、今年1月にはJ2の東京ヴェルディからFW大久保嘉人が、まだ記憶に新しい今年8月末にはエイバル退団後は無所属が続いていたMF乾貴士がそれぞれ復帰している。 今シーズンから名古屋グランパスでプレーしている柿谷曜一朗も、海外から復帰する第1号として、2016年1月にバーゼルからセレッソへ移籍している。その柿谷が背負っていた、ミスターセレッソの象徴となる「8番」がいま現在も空いている。 ボルシア・ドルトムントへ移籍した2010年夏まで、香川自身も背負った愛着深い番号でもある。しかし、この冬にセレッソからオファーが届いたとしても乾やDF長友佑都(FC東京)、FW大迫勇也、FW武藤嘉紀(ともにヴィッセル神戸)、DF酒井宏樹(浦和レッズ)に続く日本への復帰は、香川の選択肢には入って来ないはずだ。 名門マンチェスター・ユナイテッドをへて、2度目のドルトムントで迎えた5シーズン目の途中で、出場機会を求めてトルコのベシクタシュへ期限付き移籍していた2019年の夏。森保ジャパンに招集されていた香川は、30歳になった自分自身が特に肉体面でシビアな視線にさらされていると明かした上で、こんな言葉を残している。 「そこ(年齢)を受け入れるつもりはないというか、そこを気にして『僕はもうダメなのか』という気持ちになっているようでは、生き残っていくことはできないので」 この姿勢こそが、ツイッターでつぶやいた「欧州でやるべき事」となる。ドルトムントとの契約を1年残して加わったサラゴサ、そして約4ヵ月間の無所属状態をへて加入したPAOKと、苦労を乗り越え、プロセスにこだわった先に結果がついてくると信じて疑わない香川の挑戦には、ある意味で頑固一徹な性格も反映されている。 ヨーロッパで戦い続けること、を目標に置いている香川は、まずはルチェスク監督の信頼を再び勝ち取るための努力を必死に積み重ねていく。その結果として状況が好転しない場合は、今夏にも加入が報じられたアメリカのMLSや好待遇を用意する中東、そして古巣セレッソを含めた日本ではなく、ヨーロッパで新天地を探していくことになる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)