ラーメン山岡家の噂、結界マップ 「国道16号内側にはない」を検証
重くのしかかるガス代、でも止めない
これらの鍋を火にかけ続けるため、「専用の冷房設備を厨房に備え付けているが、効果はほとんどなく、とにかく暑い」と丸千代山岡家の経営企画室で室長を務める大島正一氏は苦笑する。当然、ガス代もすさまじい。 通常、店舗数が増えるにつれて製造はセントラルキッチンへ移し、そこで作った濃縮スープを各店が水で割るケースが多い。しかし、山岡家は1988年(昭和63年)の1号店オープン以来、店内調理を死守している。 「濃縮したものに水を加えても、できたてのスープのおいしさは出せない。お客様目線で考えれば現在のやり方がベストで、当店の強力な差別化ポイントにもなっている」と大島氏。実際、うまみが濃いスープはくせになり、ファンになる人は多い。現在、アルバイトを含めると全店で約6000人が働いていて、全員にスープの作り方を見せているという。 この手作り路線の徹底は、29種類のレギュラーメニューすべてに載るチャーシューにおいても当てはまる(コロチャーシューを含む)。豚肉の肩ロースの大きな塊を店でカット。ひもで縛ってゆで上げ、たれに漬け込む。 「たれはシンプルな調味料をいくつか混ぜているが、厳密に言えば、その比率が全店で毎日きっちり同じかというと、必ずしもそうではないと思う。ただ、セントラルキッチンを導入して全店の味を統一させることよりも、店内での手作りによるおいしさを優先させた方が、お客様にたくさん喜んでもらえる」(大島氏) エリアを担当する本部社員が各店を回り、味を確認はするものの、ある程度のぶれは許容しているという。来店客も「○○店の味が一番好みだから、なるべく行くようにしている」と受け入れている。 ここで山岡家の手作り重視を語る時に外せない材料にも触れておく。それはネギだ。 山岡家のレギュラーメニューのほとんどには、小口切りの薬味ネギもしくは味付けされた白髪ネギが載っている(ごく一部は青ネギを使用)。一般的にはラーメンによくある具として認識されているが、山岡家では人気が高く、トッピングの注文率が高い。チャーシュー同様、ネギも店内でカットしていて、切り立てならではの味、香り、歯応えが好評だ。 メニューでは、白髪ネギが盛られた「醤油ネギラーメン」が一番人気。ラーメンとの相性を考えてネギに目をつけた創業者の山岡正氏(現代表取締役会長)が考案し、1号店を茨城県牛久市に開店した1980年代後半からある。