フランス・マクロン大統領の決断は第3次世界大戦を招くか、6月30日に総選挙・ロシア派兵の意思は
2024年6月9日に欧州議会(EU議会、EU加盟国で選ばれた議員で構成される議会)の選挙が行われた。下馬評通り、右派勢力が台頭した。とりわけ大きな躍進を遂げたのは、フランスのバルデラ率いる極右勢力であった。 【この記事の他の画像を見る】 とはいえ、27カ国の選挙の結果を見るかぎり、全体の勢力図がそれほど変わったというわけではない。 ■マクロンに痛手となったEU議会選挙 EU議会を構成する政党は、各国の政党が国家の枠を超えて結ぶグループによって構成されている。最も多い議席数を持つ政党はEPP(欧州人民党)で、むしろ議席数を8議席伸ばしている。
この政党はフランスの共和主義者とドイツのキリスト教民主同盟(CDU)などが参加する政党だが、2つの政党ともに今政権を握ってはいない。 次に大きな政党は社会民主進歩同盟(S&D)で、フランスでは社会党、ドイツでは社会民主党。ドイツでは政権党であるが、フランスではそうではない。この政党の議席数は変わらず、変化なしである。 一方、大幅に議席を減らしたのは欧州刷新(RE、Renew)で、22議席減の80議席。ドイツでは中道の自由民主党、フランスはマクロンの支持母体ともいえる「再生」党のグループだ。マクロンが大きな痛手を被ったというのは、この政党が議席を減らしたからである。
話題のフランスの極右党が入っているのは、アイデンティティと民主主義(ID)だが、9議席増の58議席であった。ここにはドイツのための選択肢(AfD)も入っている。いわゆる極右グループといわれる政党だが、たいして増えたわけではない。 しかし、とりわけフランスでこのグループが投票率1位に躍進したことが重要だ。フランスで31%は極右の国民連合(Rassemblement National)(バルデラ代表)に流れ、12議席増の30議席となった。
しかも、極右への投票率の流れだけでなく、4位は極左政党の不服従のフランス(LFI、メランション代表)で、政権党のマクロンの「再生」は極右と極左に挟まれ、さらに保守党に押されたという結果となったのだ。 この躍進がショッキングなニュースとして飛び込んできた。だからこそ、マクロン大統領は、その日のうちにフランス国民議会の解散を宣言し、6月30日(第1回投票)に総選挙を行うと決意表明を行ったのである。 フランス憲法12条では、首相と議長の了解を得て、大統領が議会を解散できることになっている。