「人の目を気にしてやめるのはもったいない」――北海道が生んだエンターテイナー・大泉 洋の50年
娘は「パパみたいになりたい」と言ったりもする。 「『なんで?』と聞くと、『だってパパは何の努力もしないでここまできたんでしょ』って(笑)。僕がそんな話をしてる番組を見たんでしょうね。確かに大学時代に『水曜どうでしょう』に出て、気がつけば今になってた。でも、好きでやってるから楽しいだけで、学生時代から、寝ないで芝居作って、過酷なロケして、必死に台詞覚えて今までやってきたわけだよね。努力だと思ってないだけで」 50歳からの展望を聞くと、音楽に気持ちが向いていた。 「これまでの人生、二歩しか踏み出していなかった。一歩目が大学で入った演劇研究会、二歩目は東京の仕事。歌は、ひょっとしたら三歩目かもなって。僕は人の目ばっかり気にしていて、なかなかそれを変えられないんだけど。でも50になって、もういいか、みたいなね。『おまえの歌なんか誰も聴かない』と言われても、『まあ、やりたいからやるよ』と思えるようになった。人の目を気にして恥ずかしがってやめるのは、もったいないもんね」
大泉 洋(おおいずみ・よう) 1973年生まれ。「TEAM NACS」メンバー。俳優としては多数の映画、ドラマに出演し、『探偵はBARにいる』『駆込み女と駆出し男』などで日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。舞台では三谷幸喜作品に多く出演し、TEAM NACS公演で作・演出を務めることも。これまでの音楽活動をまとめたベストアルバム「YO OIZUMI ALL TIME BEST」が3月20日に発売。 (取材・文:塚原沙耶) 【RED Chair】 ひとりの人生を紐解く『RED Chair』。先駆者、挑戦者、変革者など、新しい価値を創造してきた人たちの生き方に迫ります。