世界有数、育成超名門責任者に聞く“選手の育て方”とは? 一人ひとりに寄り添い「ロボットではなく、本物の選手」を育てる
キリアン・エンバペ、ティエリ・アンリ、リリアン・テュラム、エマニュエル・プティ、ダヴィド・トレゼゲと5人のワールドカップ王者を輩出。他にもヤニック・カラスコ、リュドヴィク・ジュリ、近年ではブノワ・バジアシーレなどをトップチームに送り出したほか、現在もマグネス・アクリウシェやエリース・ベン・セギルといった才能も生み出している、育成の名門としても知られるモナコ。 【動画】モナコ最新アカデミー施設に潜入!! 2022年9月には寮や学校、ケア施設、スタッフ住居などが統合された新たなアカデミー専用施設『LA DIAGONALE(ラ・ディアゴナル)』の本格運用を開始するなど、投資も怠らない。 アカデミー部門のダイレクターであり、クラブ・ブルッヘで約15年アカデミー部門を担当し、2021年にモナコへやってきたベルギー人のパスカル・デ・マシャルク氏に、スカウティング方針や選手育成に必要なことなどを聞いた。
■評価指標は45ページ以上
―――モナコのアカデミーは日本でも有名です。改めて特徴を教えてください。 若い選手をトップチームへの数多く昇格させているだけでなく、フランス代表にも多くの選手を輩出していることも理由の一つです。ビッグネームが多くいるし、5名の世界王者がここの出身です。このようなビッグプレーヤーが若い選手たちに道を示しているのだと思います。トップチームへの貢献はもちろん、フランスという国への貢献もとても誇らしいことですね。 ―――そういった選手を輩出できる要因は何でしょうか? まず、フランスで創設された最も歴史、伝統のあるアカデミーだということです。歴史の中で統計などが集められることで評価につながっている。モナコという場所も理由としてあります。ここは地中海に近く、イタリアも近い。つまりフランス全土から選手を探さないといけなかったんです。だから、15歳くらいの段階でモナコに来て練習を積んでくれるような優秀な選手を見つけるための効率的なスカウティングネットワークを早くから持つことができました。 ―――選手をスカウトする際の判断基準はどういったものでしょう。 若くして才能があるかどうか、『指標』と呼んでいるものを使っています。それは45ページ以上におよぶ包括的な評価指標で、12歳から14歳くらいまでの選手たちについて明確にし、ディスカッションし、もし指標に当てはまっているようであれば、私たちが選び、そして選手がモナコに来たいと望めば、15歳の時に加入させています。