岡村靖幸「吉川晃司、尾崎豊と知り合えたことは幸福だった」。対談集『幸福への道』で語った“人と会う情熱”【インタビュー】
岡村靖幸が、ゲストに「幸せとは何か?」について話を聞く「週刊文春WOMAN」の連載をまとめた書籍『幸福への道』(文藝春秋)が発売された。2018年からコロナ禍を経た現在に至るまで、神田伯山、千原ジュニア、オードリー・タン、吉川晃司といった多彩なゲスト22人と対談。芸能から政治、社会問題までさまざまなテーマについて語り合う時間に、岡村はどう向き合ったのだろうか。取材にかける思いや、岡村が考える幸福の形まで、幅広く話を聞いた。
幸福は十人十色。「幸福とは?」はみんなのテーマだから面白い
――「幸福」というと岡村さんのアルバム『幸福』が思い出されますが、あのジャケットの絵を見た時、岡村さんが、結婚や子育てというありふれた幸福を、畏怖を抱くものとして捉えていると感じました。 あの絵を描いてくださったのは会田誠さんなんですけど、僕は『幸福』というタイトルを伝えただけで、何のリクエストもしなかったんですよ。会田さんが、僕自身がああいうものを望んでるのではないかという想像のもとに描いてくれたんだと思います。 ――あの絵をご覧になった時はどう思われましたか? ああいうささやかで、簡単そうで手に入らないプライスレスな瞬間が幸せなんだろうなと思いました。僕があの絵を描いてくれと言ったわけではないけど、それに気づかされましたね。会田さんは僕と同い年で、彼はお子さんがいますけど、いろんな経験をして、いろんなことを感じて至った心境で、あれを描いたんだと思います。 ――あのアルバムは、なぜ、「幸福」というタイトルをつけたのでしょうか。 幸福って十人十色ですよね。たとえば、いいマンションに住むとか、いい車を持つとか、物質的なものに依存してる人や、恋愛を最上の幸せと考えている人もいて。家族を作ることや子育てを最上の幸福と思ってる人もいるし、社会的な地位や、趣味を楽しむことを最上と思ってる人もいる。幸福というのは、人によっても違うし、年齢によっても変わっていくものなのかもしれませんね。だから面白いし、みんなが「幸福ってなんだろう」ということに共感するだろうなと。それに、わかりやすいタイトルなのにあまり聞いたことがないから、これはいいなと思ってつけました。