「どんなときでも飲料水をすぐに届けるのが絶対的な使命」 目指すは北東北3県で最も愛される飲料会社 みちのくコカ・コーラ
サプライチェーンの整備と旧本社の売却を完遂
みちのくコカ・コーラボトリング(本社:岩手県盛岡市)は、商圏とする岩手県・秋田県・青森県の北東北エリアで他の飲料会社を凌駕する多くの拠点を構え、地元に密着してニーズに即応できる体制を整えている。 拠点数は本社・工場含め26拠点。この強みに磨きをかけるべく、2014年から現職の谷村広和社長は、社長就任後、サプライチェーンの整備と旧本社不動産の売却の2つに注力し収益力を強化。現在、北東北3県で最も愛される飲料会社を目指して様々な挑戦を続けている。 岩手県紫波郡矢巾町にあった旧本社の売却の主目的は、財務を軽くするアセットライト経営にあった。売却で得られた資金は、サプライチェーンの整備に充てられた。 「社長就任後、花巻工場を中心とした製造設備の増強や倉庫の内製化などサプライチェーン周りの整備と旧本社の売却をミッションに掲げて活動してきた。旧本社は2021年にようやく売却でき時間がかかったが、この2つをやり遂げることができた」と谷村社長は胸を張る。 サプライチェーン構築の一丁目一番地は、アセプティック(無菌充填)ラインの導入にあった。 「社長就任時、花巻工場にはアセプティックラインが導入されておらず、アセプティック製造の重要製品と位置付ける『い・ろ・は・す 天然水』やペットボトル(PET)の『綾鷹』などは他ボトラーから購入していた」という。 銀行融資で設備投資を行い、2016年に花巻工場でアセプティックラインが稼働。同時に「い・ろ・は・す 天然水」の採水地として岩手県花巻市太田が新たに追加され「い・ろ・は・す 奥羽山脈の天然水」が北東北エリアで発売開始された。 アセプティック製造商品の内製化により自社製造比率は従前の約60%から75%に引き上げられ収益が大きく改善。
倉庫の内製化も収益改善に寄与した。 「他ボトラーからの製品購入に伴い近隣に外部倉庫を借りていたが、製造の内製化により倉庫も内製化しようと 花巻工場の敷地内に巨大倉庫を建設した」と述べる。 さらに本社売却で得られた資金を元手に、老朽化した花巻工場の缶容器のラインを刷新。ボトル缶ラインとともに炭酸の充填ラインを新設して2023年に稼動した。 この設備投資は、市場でボトル缶コーヒーが全盛であったことを受けたものだが、稼働開始と軌を一にしてPETコーヒー市場が勃興。 ボトル缶コーヒー市場が縮小し稼働率が下がるボトル缶ラインを補填するものとして編み出したのが「HI-C(ハイシー)」のボトル缶。 1991年に販売されていたパッケージデザインで復刻させて、20年に「オレンジ」、21年に「アップル」を北東北限定で発売開始した。 「当社エリアの特色が出せて、ポテンシャルがあるのに最近作れていないものを探した結果、『HI-C』が浮上した。ボトル缶で復活させたところ非常に好評で、自販機に留まらず手売りでもお取り扱いいただいている」と語る。 現在、ボトル缶ラインでは北東北限定デザインの「アクエリアス スパークリング」も製造して同商品の売上げの1%を地元バスケットボールチームに寄付している。 「北東北のプロスポーツは、バスケやサッカーがメイン。バスケは特に地域の皆様とのタッチポイントが多く、チームも完全に地域密着のため、当社と同じ理念で活動されている」との考えに基づいた取り組みとなる。