なぜタンタン?/執筆:勝見充男
この稿にあたり、棚の奥に長い間眠っているマグカップを思い出した。茶色に青のストライプがあるこの一点は、四十年も前に、イギリスの片田舎で求めたものだ。この子供用のマグカップは、あまりに使う事がなく、それでもこの配色が気になって、今まで手離さないでいた。
若かった当時を想い、これで一杯、コーヒーを飲むのも良いが、それより私は、これから一体どのような物に現うつつを抜かしていくのだろう、と、期待しながら筆を置きたいと思う。
プロフィール
勝見充男 かつみ・みつお|1958年、東京、新橋に、骨董家の次男として生まれる。学生時代に西洋骨董に惹かれ、やがてやきものをはじめとする和骨董の世界に魅せられていった。西洋骨董家で10年修行の後、祖父からの屋号、自在屋を継いで四代目となった。自在屋に相応しく、和洋の枠を超えた自由な、発想と、柔らかく洒落たセンスで新しい潮流を作り続けている。テレビ東京「開運!なんでも鑑定団」鑑定士。著書に「骨董自在ナリ」(筑摩書房)「そう、これも骨董なのです」(バジリコ)「骨董屋の盃手帳」(淡交社)「勝見充男大全」(目の眼) 他に雑誌などで監修、寄稿も多数。 photo: Yuki Sonoyama, text: Mitsuo Katsumi, edit: Eri Machida
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