なぜK-1は強行開催されたのにRIZINは大会中止を決断したのか…「損失は億単位」
総合格闘技「RIZIN」の榊原信行CEO(56)が2日、インターネット会見を行い、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を考慮し4月19日に横浜アリーナで予定されていた「RIZIN.22」と5月17日に仙台で開催予定だった「RIZIN.23」の2大会の中止を発表。同時に今夏に”格闘五輪”とも言えるメガイベントの開催プランをぶちあげた。政府、知事の自粛要請を無視して、3月22日に大会を強行したK-1とは対照的な決断。ただK-1の判断にも理解を示し、政府による経済支援の必要性を訴えた。
「断腸の思い」4、5、6月の大会すべて中止
開催か、中止か……注目されていたRIZINの4.19横浜アリーナ大会の中止を団体トップの榊原CEOが通常の記者を集めての会見ではなく、インターネット中継の形で発表した。 「断腸の思い。残念で悔しくて仕方がないが、報道されている”3つの密”に格闘技、ライブイベントはドンピシャ。観客の安全を担保できる環境にない。また選手、関係者の安全を担保できると自信を持って言える状況にはない」 すでに売り出されていたチケットは払い戻しとなり、発表されていた、RIZIN登場後7戦無敗の朝倉未来と、元ONE世界ライト級王者、朴光哲とのスペシャルワンマッチも流れた。また榊原CEOは、5月17に仙台で予定していた「RIZIN.23」の開催の中止と「4、5、6月はできない」ことも明らかにした。 立ち技系の格闘技団体「K-1」は、3月22日に、政府、埼玉県知事から大会の自粛を要請される中、さいたまスーパーアリーナで「K-1 WORLD GP 2020 JAPAN ~K’FESTA.3~」を強行開催した。 約6500人の来場者にマスクを配布して消毒薬も設置、行政の指導に従い、新型コロナの感染者が出た場合、経路を追えるように来場者の住所などを記録したが「密閉」「密集」「密接」の”3つの密”が揃い、感染リスクの高い環境でイベントが強行されたことに対する批判が殺到した。だが、RIZINは、対照的な決断をした。なぜなのか? 榊原CEOは、K-1のやむを得ない事情を鑑みて、こう説明した。 「K-1さんが、大会開催で批判を受けて社会的現象にもなった。同じ格闘技界。他人事には思えず、自分らがその立場ならどうしたかを考えさせられた。やるべきタイミングではなかったと個人的には思うが、主催者としては、僕もやっていた可能性もある。なぜなら、あのタイミングでは経済的負担が大きい。保障もない中(で中止すれば)会場費がタダになること以外に、プロダクションのコスト、選手の移動交通費、広告宣伝費など(損失は)億単位。それを全部引き受けて止める決断は民間企業の中だけではジャッジできない。(国や行政が)止める要請をするなら、国の支援だとかバックアップを提案してもらわないと。経済的な損失を補える穴埋めがないと、止める決断はできない。K-1だけが非難されるのはおかしい。明日は我が身。これは一つのアンチテーゼ。こういう問題が起きた時の課題となった」