なぜK-1は強行開催されたのにRIZINは大会中止を決断したのか…「損失は億単位」
中止が、どれだけ難しい決断だったかを表すように、榊原CEOの発言も揺れた。「やっていた可能性がある」とも言ったが、改めて「RIZINなら、どれだけのマイナスが出て(団体が)ぶっつぶれてもやれなかった。放送局、スポンサーさん、社会的な意見を聞いて止めざるを得なかった。僕らならそういう決断だった」とも語った。 新型コロナの猛威を考慮すれば、経済活動のために”3つの密”の危険性があるイベントを開催することは愚挙だ。だが、法的拘束力のない自粛要請が、一方的に、国、行政からなされ、主催者だけが、億単位の経済的損失を被るという現状の社会システムには問題はある。 K-1の大会強行に関しては、元大阪府知事、市長の橋本徹氏も「今回、K1イベント埼玉アリーナで感染拡大すれば政治の責任。社会防衛のために止めるなら「命令」の上、正当な補償を」と、榊原CEOと同様の意見を述べていた。 RIZINの中止決定は、地上波のテレビ局や、多くのスポンサーをバックに持つ格闘メジャー団体として、その社会的影響力、責任の大きさを感じてのものだったのだろう。 だが、チケット収入を軸としたビジネススキームを持つ格闘技団体にとって興行中止は、団体の存続にさえ関わる大ピンチである。 榊原CEOも、「3か月間、RIZINも無収入。経済的な収入源を絶たれる。公共的な予算もない。ぜひ国に支援をして欲しい。自営業の方々と同じ境遇。どう乗り越えていくかの知恵を絞るところ。クラウドファンディングもひとつの方法。ファンの皆さんに助けて欲しい。今後、そういうご提案、ご相談をしたい」と悲痛な呼びかけを行った。 トレーニングジムが閉鎖されるなど、世界中のファイターは、練習さえままならぬ環境に置かれている。当然、ファイトマネーもない。 「今は我慢のとき」という榊原CEOは、一発逆転の夢構想プランを明かした。新型コロナの終息を条件に、今夏に1年延期の東京五輪に代わる”格闘五輪”を開催したいというのだ。 「スポーツに限らず、明るい話題がない中、夏に格闘技界のみんなが力を合わせて、大型イベントをファンと共に企画したい。五輪の空いた穴を埋めるようなメガイベント。戦うことで勇気を届けたい。明けない夜はない。かならず夜明けはくる」