本田圭佑は新型コロナ禍に設立した新投資ファンドで何をしたいのか?
本田が歩んできた波乱万丈に富んだサッカー人生には、挑戦なくして成長なし、という信念が反映されている。 失敗は成長への糧になる、という思いも然り。日本社会や経済を見わたしたときも、同じ図式があてはまる。投資がなければイノベーションが起こる確率も低くなる。だからこそ、何らかのアクションを起こす。4年前から投資を続けてきた理由も、本田の思考回路を推測すればうなずける。 「日本では『WEIN挑戦者FUND』を、自分のメインの投資元にしたいと考えています。アメリカでは引き続き『Dreamers Fund』で、それ以外は貧困や経済、教育などさまざまな格差を解決するというもともとの理念に戻って、可能な範囲内で『KSK Angel Fund』から投資をしていきたい」 もちろん投資家だけではない。起業家。世界の74カ所でサッカースクールやクラブ運営に携わる実業家。カンボジア代表の実質的な監督を務める指導者。そしてボタフォゴで成功を収め、来夏に延期された東京五輪へ思い描く、オーバーエイジでの参戦を実現させたいと望む現役サッカー選手。チャレンジする分野の数だけ生きがいも増し、本田の表情にも精悍さが色濃く漂ってくる。 「来年の五輪を目指していまはブラジルにいるので、この挑戦は最後までやり切りたい。サッカーでのキャリアを上手く投資にも生かさせてもらっている現状もありますし、ビジネスサイドもまたサッカーに生かしている。サッカーで結果を出さなければ選手としてのキャリアだけでなく、ビジネスもダメになるという危機感をもって、ブラジルでサッカーをしていきます」 新型コロナウイルスの感染者数と死亡者数が激増しているブラジルでは、今後も予断を許さない状況が続く。新天地ボタフォゴでのデビュー戦でPKながらゴールを決めた直後に幕を開けた、サッカーがない日々のなかで飢餓感をつのらせながら、まもなく34歳になる本田は「WEIN挑戦者FUND」の意思決定や挑戦を後押ししたい起業家へのフォローなどを、なすべき仕事のなかに組み込んでいく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)