本田圭佑は新型コロナ禍に設立した新投資ファンドで何をしたいのか?
職業は何かと問われれば、迷わずにチャレンジャーと答える。全身全霊で取り組んでいる対象のひとつがプロサッカー選手だと不敵に笑う本田圭佑(33)に、新たな肩書きと目標が加わった。 自身のツイッター(@kskgroup2017)で「新たな挑戦を発表します。」と唐突につぶやいた本田は一夜明けた28日に、所属するボタフォゴが本拠地を置くブラジル・リオデジャネイロからオンライン形式の記者会見に出席。日本のスタートアップ企業に投資するファンドを立ち上げると発表した。 今年3月までネスレ日本株式会社の代表取締役社長兼CEOを務めた高岡浩三氏(60)、以前から親交のある起業家の溝口勇児氏(35)とともに、来たる6月に「WEIN挑戦者FUND」(https://wein.co.jp/)を設立。共同ファウンダー兼代表パートナーの一人として、ブラジルの地から参画する。 2016年に個人投資会社「KSK Angel Fund」を、2018年にはアメリカの人気俳優ウィル・スミスと共同でベンチャーファンド「Dreamers Fund」を設立。前者だけで47社を数える日本企業へ、後者を含めて世界では80社近くに投資してきた過程で、日本の投資環境の拙さを何度も痛感してきた。 「サッカー界で例えればチャンピオンズリーグのような(最高峰の)場所となるアメリカのシリコンバレーでは、挑戦する側にミスが許容されるのでリスクを取れる。投資する側との間に文化も成り立っているというか、成熟しているので、ウィンウィンの形がすごく上手く回っていくんですね。 それが日本では回らないし、失敗すれば立ち上がれないぐらいズタボロにされる。ビビりながら挑戦している起業家へ投資しても、予想を超えるリターンを得られない悪循環が起こっている。日本で47社に投資してきて、本気で世界を目指そうという起業家になかなか巡り会えない、と感じてきました」 同時に個人で行う投資にも、限界に近い思いを募らせてきた。起業家にとって本当の意味での挑戦は出資を受けてから始まることを、幾度となく目の当たりにしてきたからだ。 「僕自身はサッカー選手としても活動しているので、お金を出した後に起業家に対して何もサポートできない、というジレンマがすごくあった。そうした状況で、たまたまタイミングが重なりました」