関学大負傷QBが復帰戦後に騒動に巻き込まれた苦悩と宮川君への思いを語る
――騒動に巻き込まれ戸惑いがあったでしょう。 「(騒動が大きくなって)戸惑うこともありました。一人になったときに、ちょっとニュースを見てしまうと、考えてしまうことがありました。でも学校で友達や先輩がいつも通りに接してくれて……“何かあれば言えよ”“家に泊まりにおいでよ”と周りに励ましてもらって、いつものアメフトができたと思います」 ――「フットボールなんかやらなければ良かった」とお父さんに言ったとか? 「家で一人で考えこんだとき、僕がアメフトをしてなかったら、家族に迷惑をかけていない。でも、“あんたがそんなことを考えんでいい、悪いことはしていないんやから”と。先輩にも相談して声をかけてもらって、その気持ちは吹っ切れました。やるべきことをしようと、今日来ました」 ――宮川選手から直接、謝罪を受けました。 「直接、謝罪を受けたときに、凄く心苦しく、かわいそうって感じました。会見で、宮川君は、フットボールをする権利がないと言っていましたが、それはまた違うと思います。フットボール選手として戻ってきて、グラウンドで正々堂々とルール内でプレーしてまた勝負できたらいいと思います」 ――辞めずに戻ってきて欲しい? 「宮川君には戻ってきて欲しいという気持ちが凄くあります。凄く上手い選手なんで戻って活躍できる選手だと思うんです。また勝負ができる機会があれば、グラウンドで戦ってみたいです」 ――日大の内田前監督、井上前コーチは「反則行為を指示していない」と主張していますが、それについては、どう思いますか。 「それについてはすみません。答えることはできません」 ――どういう決着を望みますか? 「アメフトが危険なスポーツと思われないように、日本で人気のスポーツになっていって、フェアでおもしろいスポーツなんだよ、となって最後は終わって欲しいです」 ――秋に向けての目標を教えてください。 「チームの目標が、社会人に勝っての日本一(ライスボウル優勝)なので、僕自身どうなるかわかりませんが(レギュラーで試合に出られるかどうかわからないの意味)、プレーでファイターズが日本一になるために貢献できたらと思います」 関西で学生アメリカンフットボールを取材するのは久しぶりだったが、オンサイドキックで再逆転を狙いにいった関大の執念も、チアのエールにコンバットマーチも、関西学生フットボール連盟の皆さんのフットボールを愛する熱い思いも、関西に根付いてきた学生フットボール文化の熱は何も変わっていなかった。 なのに日大の“どす黒い指導者たち”は、将来のあるDL選手の青春を奪い、19歳のQBを苦悩させ、アメフット界全体に大きなダメージを与えた。爽やかな勝負の現場に身を置くと、なおさら、そのスポーツにあるまじき行為とのギャップへの違和感が増した。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)