おにぎり専門店増加で進化…「羽根つき」「高級食材」が人気に
店の得意分野を生かしたおにぎりのメニューを開発し、販売する店舗もあります。燻製と台湾料理を提供する「燻薫~kunkun~」(東京都小金井市)は、燻製を具材にしたおにぎりメニュー「2度楽しめる燻製具材のおにぎり」(700円)を開発しました。 顧客から「燻製を白飯と一緒に食べたい」という要望を受けたのが開発のきっかけ。店主の森川竜太さんは「開業した当時から、お米はさっぱりとした中に甘みがある熊本県産の『森のくまさん』を使用しています。おにぎりにしても燻製サバや燻製タラコなどの具材によく合います。器に入れて、だしをかければ『燻製具材の出汁茶漬け』として2度楽しめ、満足していただけます」と語っていました。
世界中でおにぎり専門店が増加
一般社団法人「おにぎり協会」には、おにぎり専門店の開業を希望する人からの相談が、コロナ禍前の10倍以上も寄せられています。おにぎりの人気が拡大している理由について、同協会の代表理事・中村祐介さんは「コロナ禍でテイクアウトできる食べ物の需要が増えたこと。おにぎり専門店『おにぎり浅草宿六』が『ミシュランガイド東京2019』でビブグルマンに選ばれ、おにぎりが料理として認識されるようになったこと。また、比較的狭いスペースでも開業できることなどが考えられます」と分析します。 今年は、フランス・パリを中心に、当地ならではの具材や味付けなどをおにぎりに組み合わせた「パリおにぎり」が話題となりました。最近は、米を主食とするアジア圏でも、おにぎり専門店が増え始めているといいます。中村さんは「世界中で小麦の価格が高騰しており、サンドイッチなどと比べておにぎりはコスパが良いこと。また、正三角形の食べ物は世界的にも珍しく、興味を引くといった理由から、おにぎりは海外でも人気が出ています」と説明します。
余りものを具材にしてフードロス削減
おにぎりは今や、店で買って自宅や職場などに持ち帰って食べる「中食」の代表的な食べ物となりましたが、その一方で、最も親しみのある「家庭の味」の一つでもあります。子どもの頃、母親が握ってくれたおにぎりを懐かしく思い出す人も多いでしょう。中村さんが、家庭で作るおにぎりの意外な楽しみ方を教えてくれました。 いくつかの品種のお米でおにぎりを作り、食べ比べること。比べてみると、お米の味の違いがよくわかって面白いといいます。また、「おにぎりにしておいしく食べれば、食費の節約やフードロス削減にもつながる」として、紅ショウガや福神漬けなど、家庭では余りがちな食材をおにぎりに使ってみることも提案しています。 (読売新聞メディア局 長縄由実)