「アメリカ・ファースト」ウイルスがバイデン大統領に伝染?USスチール買収阻止で免罪符得たトランプ流ポピュリズム
「トランプ化」するバイデン大統領
トランプ次期米大統領の「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」のウイルスが、バイデン大統領に伝染したようだ。 【画像】新年早々「アメリカ・ファースト」に翻弄される年に?石破首相の胸中は バイデン大統領は3日、日本製鉄によるUSスティールの買収計画に対して中止命令を出したが、その際発表した大統領談話にはこうある。 「(前略)米国の製鉄能力の主要な部分を占める大手米国企業は、これからも米国の国家利益を代表して戦いをリードする必要があります。(中略)そのため、私はこの取引を阻止する行動を取ります。国内で所有・運営される強力な製鉄業を、今後も長く維持し、我が国の国内外での強さの源泉を支えることができるようにすることが、私の大統領としての厳粛な責務です。この重要な米国企業が外国の所有下に置かれることを阻止することは、この責務の遂行そのものです。(後略)」 これは、米国の経済の立て直しを最優先して、国際社会への関与を徹底的に控えていこうというトランプ次期米大統領の「アメリカ・ファースト」を具象化したものとしか思えない。 先の大統領選挙で民主党側はトランプ候補の「アメリカ・ファースト」を「ポピュリズム(人気取り政策)」と批判していたが、そのポピュリズムのウィルスがバイデン大統領に伝染してしまったように見える。
次期トランプ政権への影響は
バイデン大統領が任期終了までひと月を欠いた時点でなぜ人気取り政策に走ったのかは分からないが、20日にスタートするトランプ2.0に計り知れない影響を及ぼすことは確かだ。 まず、これでトランプ次期大統領は「アメリカ・ファースト」政策に免罪符を得たようなもので、自国の産業の保護を名目に輸入品に高関税を課すことなどに躊躇する必要がなくなったことがある。 また、米国人の雇用の確保を口実に移民の流入を阻止するのも容易だろう。 これに対して本来ならば国際協調の立場から反対するはずの野党民主党も、自党が輩出した大統領が「アメリカ・ファースト」を実践するような政策を打ち出していたのでは反対のしようもなくなる。 さらに、4年後の大統領選を見越して民主党が本来の国際協調主義に基づいて再建をはかろうにも「前大統領は間違っていました」というわけにもゆかないだろう。
【関連記事】
- 木村太郎氏が“シン・トランプ”の世界を徹底解説「トランプ氏がただ1人言うことを聞く」氷の女…イーロン・マスク氏の閣僚起用は?
- 「“絶対”石破首相と合わない」専門家が語る『トランプ大統領』 早くも『勝利宣言』を出したトランプ氏 現地で感じる「バイデン政権への不満」
- アメリカ大統領選挙は「経済こそが大事、バカモン!」トランプ氏圧勝の背景は…「民主党エリートは国民から遊離」との指摘も
- トランプ氏“3期目説”早くも浮上「任期を制限する憲法条項」に“抜け穴”?「憲法会議」で改正という“奥の手”も
- “ネコを食べた女”事件と「移民はペットを食べる」トランプ氏発言 “伝聞混同”で誤情報拡散…地域のイメージダウンで女に重罪適用か