〈トランプもプーチンもお手上げ?〉停戦合意が困難なロシア・ウクライナ戦争 停戦後のロシアに降りかかるワーストシナリオとは
ロシアのプーチン政権がすでに、米国のトランプ次期政権とウクライナ戦争をめぐる停戦交渉を水面下で本格化させているもようだ。しかし断片的に浮かび上がる情報からは、交渉が決して容易には妥結しない実態が浮かび上がる。 トランプ氏は政権発足と同時にロシアとウクライナを交渉のテーブルにつかせると豪語したが、残された時間はわずかで、交渉が行き詰まれば戦闘終結は再び見えなくなる。ロシア国内では、制裁下でも好調を維持してきた経済に陰りが見え始め、前線では北朝鮮兵士の力も借りて、犠牲をいとわず戦闘を続けている。2025年のロシアは、引き続き先の見えない総力戦を強いられる可能性がある。
年末に突如浮上した「歴史的会談」説
「12月30日に、すべての条件が整えば、歴史的な会談が行われる。そしてそれは、現在の激しい戦闘が終結することを意味している」 昨年12月29日、こんな発言がロシア、ウクライナのネット上で耳目を集めた。発言の主はウクライナ人ジャーナリストのドミトリー・ゴードン氏。同国の著名ジャーナリストで、政治家としてのキャリアも持つ同氏は現在約300万人以上のフォロワーを持つ。 結局、そのような事態は起きなかったが、30日にはロシアのペスコフ大統領報道官が「現時点でプーチン大統領が国際的な会談を行う予定はない。ウクライナでの戦闘が収まる環境は現在、整っていない」と改めて報道陣に強調するなど、ゴードン氏の発言を意識したと思われる反応があった。詳細はわからないが、ロシアメディアからの質問が相次いだとみられる。 「歴史的会談」についてゴードン氏は、30日にもふたたびネット上で発言し、「米国側から3人、ウクライナ側から1人」の情報源から、今回の情報を得ていたと明かした。彼の発言が注目されたのは、ロシアの政府専用機が12月下旬にワシントンの空港に駐機していた事実が判明していたことも背景にあった。 歴史的な会談とは、ほかでもないプーチン・トランプ会談を指していた。彼の情報の精度はともかく、プーチン政権とトランプ次期政権の間では、ウクライナ戦争の停戦をめぐる交渉が加速している事実を示唆する発言が次々と明るみに出ている。