ラストの箱根駅伝へ、法政大の小泉樹主将「最後は1区を走りたい」 祖父は早稲田大の元箱根ランナー
10大会連続で箱根駅伝に出場するシード校の法政大学は地に足をつけた目標を掲げ、1年かけて、コツコツと積み上げてきた。坪田智夫監督、主将の小泉樹(4年、國學院久我山)やエースの武田和馬(4年、一関学院)を中心とする主力選手たちは本番を控え、自信をのぞかせている。 【写真】最後の箱根駅伝にかける思いを語る小泉樹
チーム強化へ練習のボリュームを増加
2022年総合10位、23年7位、24年6位。法政大は3年連続で箱根駅伝のシード権を確保し、右肩上がりで順位を上げてきた。就任12年目を迎える坪田監督は総合5位以内から逆算し、1年かけてチームを強化してきたという。 「前年度と比べても、練習のボリュームは増やしています。これは新チームをスタートさせたときからずっと取り組んできたこと。むしろ、増やさないと勝負できませんので」 1回の練習内容はほとんど変わらないものの、ウォーミングアップ、クールダウンを含めて、総合的に走る距離を伸ばしている。目を向けるのは、走力の向上だけではない。細部にも気を配る。ここ数年は補強、ウェートトレーニングも徹底。そして今季は、食事改革により力を入れた。栄養士の資格を持つOGにサポートしてもらい、ベストに近い状態で練習やレースに臨めるようにコンディショニングの調整に最善を尽くす。現役時代に3回、箱根路を走った実績を持つOBの指揮官はしみじみと話す。
「見えないところの積み重ねが大事」
今季は順風満帆に来たわけではない。6月には厳しい現実を突きつけられた。全日本大学駅伝の関東地区選考会では前半から苦戦を強いられ、3組目でアクシデントが発生。途中棄権者が出て、まさかの失格となってしまった。 しかし、坪田監督は苦い過去から目を背けずに振り返る。 「アクシデントのせいではなく、負けるべくして負けました。1組目、2組目で上位につけていれば、3組目の走りも変わっていたはず。チームに出場する力がなかったんです。うちには天才肌はいませんから」 法政大のモットーは、地道にコツコツ。蓄積してきた過去のデータから導かれたものもある。試行錯誤を繰り返し、箱根で成績を残してきた47歳の言葉には説得力がある。 「7月、8月、9月の出来が箱根の結果に左右します。夏合宿の準備段階にあたる7月も大事。この3カ月をけがなく過ごせたかどうか。無理して練習を乗り切るのではなく、余裕を持ってこなさないといけない。それを踏まえた上で、今季は夏の目標を達成できました」 坪田監督の表情には、自信がにじむ。秋からは徐々に仕上げていく期間。“スピード駅伝”と言われる10月の出雲駅伝は9位と苦しんたが、前を向いていた。主要区間の1区で起用した大島史也(3年、専大松戸)には、ここからの奮起を促している。高校時代にU20日本選手権3000m4位の実績を持ち、今年9月、5000mの記録会でチーム最速となる13分35秒33の自己ベストを出すなど、潜在能力は高い。 「大舞台で走れないといけない。これも経験。出雲の結果をどう受け止めるかで変わってきます。箱根にもつながってくるはずです」