ロシアのW杯予選”追放”で混乱?!ポーランドの不戦勝に「公平性を欠く」とスウェーデンがクレーム
ロシアはCASに提訴
一方、スウェーデンと同じ立場にあるチェコは、ロシアの“追放”は緊急決定だっただけに“大人の対応”をした。チェコサッカー協会のペトル・フーセック会長は、広報を通じて、「すべての選択肢の中で最も可能性の高い決定だったと思う。ポーランドが不戦勝で決勝に進出することは事実として受け止めている。今はスウェーデンの試合に集中したい。W杯に出場するためには、2つの国に勝たねばならないという我々の状況は、何も変わっていないのだから」とコメント。チェコ代表チームのヤロスラフ・シルハヴィー監督は、すでにポーランドチームの分析も始めているという。 ロシアのウクライナへの軍事侵攻が起きると、W杯欧州予選のプレーオフで同じグループBにいたポーランド、スウェーデン、チェコの3ヵ国は、すぐに対戦拒否を表明。FIFAと欧州サッカー連盟(UEFA)は2月28日にロシアの代表チームとクラブチームの主催大会への出場を全面的に禁止することを発表していた。また同じく24日に行われる予定だったW杯欧州予選のプレーオフ・トーナメント、グループAの準決勝、ウクライナ対スコットランド戦が6月に延期されることも8日に発表された。緊急対応を余儀なくされることとなった運営方式の変更により、スウェーデンが「公平性を欠く」と訴えるような大混乱が起きるのもロシアが起こした“戦争“の余波と言える。 また一方でロシアの競技統括団体ロシア・サッカー連合はW杯欧州予選プレーオフ・トーナメントへの出場禁止処分を不服としてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴。CASは、その提訴を受理したことを明かした。 ロシアの国営メディア「ロシア・トゥデイ」は、スポーツ弁護士のアンナ・アンツェリオビッチ氏の「訴訟に勝つ可能性は50-50です」との見解を伝えている。 ロシアメディア「ガゼータ」では、もう一人のスポーツ弁護士であるエフゲニー・モロゾフ氏のコメントをこう紹介した。 「FIFAのこれまでの決定は、まだ合法的に発効されていない。もしCASがロシア・サッカー連合の訴えを認め、FIFAの決定が違法であると裁定した場合、その決定の前に、いくつかの試合がそれぞれ行われていたとしても、それは無効の対象となる」 北京五輪では、CASは、ドーピング違反を起こしたフィギュアスケートのカミラ・ワリエワ(15)の出場を認めただけに、どんな裁定を下すかにも注目が集まっている。