なぜJFAは”パワハラ認定”のサガン鳥栖・金明輝前監督と東京ヴェルディ・永井秀樹前監督に異例の厳罰処分を下したのか
日本サッカー協会(JFA)は10日、サガン鳥栖で選手やスタッフへの常態的なパワーハラスメント行為が認定された金明輝前監督(40)に対して、公認指導者ライセンスを最上位のS級からひとつ下のA級ジェネラルに降級させたと発表した。 有形力の行使や暴言の回数が多く、サガン鳥栖U-18監督時代には行為の対象が未成年だった点も問題視された。Jクラブ監督に必要なS級からの降級処分は初めてで、JFAが定める研修会や社会奉仕活動への参加も義務づけられた。再びJクラブで指揮を執るにはS級の再取得が必要になるが、制度上、最短でも2年を要する。 JFAは同時に東京ヴェルディでパワハラ行為が認定された、永井秀樹前監督(51)のS級資格を今年12月まで停止とし、同じく研修会や社会奉仕活動への参加を義務づけた。
ライセンス降級と停止処分
日本サッカー界で前例のない厳罰処分が科された。 ともに監督を務めていたJクラブでのパワハラ行為が認定された、鳥栖の金、東京Vの永井両氏が持っていたS級ライセンスに関して、前者はA級ジェネラルへ降級、後者は今年12月まで資格停止とする処分が決定。10日のJFA理事会で報告された。 パワハラ行為に対する処分では2019年11月に、湘南ベルマーレの曹貴裁(チョウ・キジェ)監督(53、現京都サンガF.C.監督)のS級資格が1年間停止されたケースがある。パワハラ行為が認定された昨年12月にさかのぼり、今年12月まで1年間の資格停止が科された永井氏の件は、曹氏への処分が踏襲された形になる。 対照的に金氏に対する処分は、日本代表やJクラブの監督を務める上で必要な最上位のS級資格が実質的に“はく奪”された点で、極めて厳しい内容になった。 金氏のパワハラ行為は匿名の告発文を受理したJリーグが結成した、4人の弁護士を含めた調査チームによって認定され、昨年12月30日にJリーグから詳細が公表された。鳥栖におけるあまりにも生々しい金氏の立ち居振る舞いを、公認指導者ライセンスを発行および管轄するJFAとしても問題視せざるをえなかった。