対ロシア対応を「甘い」と批判されていたFIFAが一転、UEFAと共同でロシアの代表、クラブチームすべての出場停止を決定
国際サッカー連盟(FIFA)と欧州サッカー連盟(UEFA)は共同でロシアの代表チームとクラブチームのすべてを出場停止処分にすると日本時間1日未明に公式サイトで発表した。同日、FIFAの理事会及び、UEFAの執行委員会が開かれ、「フットボール界はここで完全に結束し、ウクライナ(への軍事侵攻)で影響を受けたすべての人々と完全に連帯していることを明らかにし、サッカーが再び人々の団結と平和に向かうよう、ウクライナの状況が大幅かつ迅速に改善されることを望んでいます」との声明と共に「(両団体からの)通告があるまで」を条件にすべての大会から締め出すことを決定した。 ロシアの代表チームは24日にW杯出場の残り3枠を争うプレーオフ・トーナメントの準決勝でポーランドと対戦予定だったが、この決定により中止となり、欧米をカバーするメディアのスカイニュースは「ロシア代表チームが11月のカタールW杯に出場できないことを意味する決定」と報じた。 ロシアのウクライナへの軍事侵攻が勃発すると、W杯プレーオフでロシアと同じグループBに入っていたポーランド、スウェーデン、チェコが、立て続けに対戦拒否を表明した。だが、当初、FIFAの腰は重たく、27日になってようやく、「試合はロシアでは行わず中立国で行う」「ロシアとしてではなくロシア・サッカー連合(RFU)という名前で大会に参加し、国家、国旗は使用できない」などの措置を発表したが、「処分が甘すぎる」などの批判がSNS上で世界中に拡散した。 ソチ五輪での国家ぐるみのドーピング違反が発覚したロシアは、IOCから、ロシアではなく、ロシア・オリンピック委員会(ROC)としての五輪参加が認められてるが、その同じ方式をサッカー界でも採用することを国際世論は許さなかった。 FIFAとプーチン大統領の“癒着”を指摘するメディアもあり、さらにポーランド、スウェーデン、チェコの3か国が、ロシアとの中立国での対戦も拒否するなど、“FIFA批判”が加熱したため「追加の措置を検討する」と、世論の様子をうかがうように措置に幅を持たせていたFIFAが、追加措置として今回の厳罰を決定した。 事実上、W杯出場を断たれたロシア代表だけでなく、ロシアの女子代表チームも今夏に行われるユーロ2022への出場ができなくなり、米NBCスポーツは、「もしこの決定がパリ五輪のサッカー予選に反映されれば、今年の後半に行われる2024年パリ五輪の男子、女子予選からロシアが排除される可能性がある」という厳しい見方も伝えている。