片脚でも縦横無尽にピッチを疾走 東大出身のアンプティサッカー日本代表、 パラトライアスロンとの「二刀流」目指す
世界のプレスの速さにのまれたW杯
金子選手ら期待の若手が加わり、「過去最強」との呼び声も高かった日本代表だったが、初めて挑んだW杯で彼の心に残ったのは悔しさだった。初戦のドイツ戦でいきなり金子選手が躍動。前半、相手GKからのパスを受けたDFに猛然とダッシュしてプレスをかけ、ボールを奪い先制ゴールを決めると、後半には相手ゴール前のスペースに走りこんでパスを受け、冷静に流し込んで追加点。いずれも金子選手が持ち味を発揮した2ゴールから日本は快勝、その勢いでグループステージを3連勝で突破した。過去のW杯では2大会連続で涙をのんだ決勝トーナメント1回戦突破の期待が高まったが、タンザニアに延長戦で敗れてベスト8進出を逃し、その後の順位決定トーナメントの結果、24カ国中11位に終わった。
「相手のテクニックが日本を上回っているとは思いませんでしたが、プレスの速さや戦い方の部分で後手を踏んでしまいました。タンザニアのスピード、プレッシャーにのまれてしまい、個人のスキルを生かせなかった。相手のプレスが激しかったり、接戦の緊張感があったりする中で、リスクを抑えたプレーをするのか、攻めるのか、チームとしての意思統一がうまくできなかった。日本では経験できない世界戦でのプレスの激しさ、スピード感に慣れる必要がありますし、その緊張感の中でポゼッションをするのか、カウンターをするのか、戦い方も見つけていかないといけない。そのプレッシャーを日本で再現しようとするなら、例えばコートを狭くして無理やりプレスが速くかかるような練習をやる必要がありそうです」 「個人としてはスタメンで出た試合が半分ぐらいで、レギュラーとサブの合間ぐらい。チームを勝たせられる、けん引する存在になれなかった悔しさが残りました。このチームだったらもっと上に行けたんじゃないか、僕の経験のなさが響いたんじゃないか、といった歯がゆさもあります。次のW杯ではこんな思いをしたくないので、得点やアシストで数字を残して、チームを勝たせられるような選手になりたい」