オウンゴール明暗 アンプティサッカー日本選手権 田嶋会長「球際すごい」
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片脚や片腕を切断、もしくは先天的に失った人たちが戦うアンプティサッカーの全国大会、第6回日本選手権が1、2の両日、川崎市の富士通スタジアム川崎であった。同サッカーなど7つの競技団体を統括する「日本障がい者サッカー連盟」の発足から初の選手権開催となり、連盟をサポートする日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長が観戦。「試合内容に感動した。(アンプティの)国際試合を組めるようにするなど、協会としてもサポートしたい」と語った。 【動画】日本一をつかんだ「奄美のチェフ」 鹿実出身の隻腕GK
前年覇者の九州とアウボラーダで決勝
アンプティは「切断者」を意味し、片脚の6人がつえを使ってフィールドプレーヤーを、片腕の1人がGKを務める7人制。オフサイドはなく、選手交代は自由。通常のサッカーの半分ほどの広さのピッチを、つえを使って片脚で走り、体をぶつけ合いながら25分ハーフで戦う過酷な競技だ。 今大会には全国9クラブ、約70選手が参加。選手不足のクラブが連合を組むなど、6チームに分かれて頂点を競った。初日は3チームずつに分かれて総当たりの予選リーグ、2日目に4強による決勝トーナメントや順位決定戦を実施した。 決勝には前年覇者のFC九州バイラオールと、FCアウボラーダが駒を進めた。フィールドにテクニシャンがそろい、攻撃力が自慢の九州。2戦目の難敵・関西セッチエストレーラス戦では、3-1とリードしてから追いつかれる苦しい試合だったが、終了間際にエースの萱島比呂の突破から、パスを受けた野間口圭介が決勝ゴールをねじ込み、波に乗って勝ち上がった。 一方のアウボラーダは、日本代表のエース、エンヒッキ・松茂良・ジアスを中心にスペースを使ってつなぐ組織的なサッカーを展開。初戦こそオウンゴールで先制を許したが、前半できっちり逆転し勝利。準決勝は関西相手に常に優位に試合を進め、2-1ながら、危なげなく決勝進出を果たした。
試合は延長戦に突入したが……
3年連続同カード、宿命の対決は、三たび1点を争う激闘に。九州はエース萱島を最後方に置き、守備も重視しながらロングボールやドリブルでカウンターを狙う作戦。アウボラーダはエンヒッキを前線に上げる攻撃的布陣で臨んだ。均衡を破ったのは九州。前半22分、相手のクリアボールを拾ってパスをつなぎ、ゴール前でマークを外した野間口が決めた。 1-0で折り返し後半へ。お互いチャンスをつくるものの、得点を奪えない緊張の連続。九州の勝利が見えかけた後半残り8分、コーナーキックをGKが触ったこぼれ球にエンヒッキが反応した。「エリアの外で待っていた。(コントロール重視で)コースを狙った」。ゴール右隅に流し込んだ。