日銀・黒田総裁会見7月15日(全文1)新型コロナで景気は極めて厳しい状態
大きなものにはなっていないという認識か
西日本新聞:西日本新聞の飯田といいます。よろしくお願いいたします。今の質問に関連してなんですけれども、第2波についてですけれども、今日、東京都が感染の警戒レベルを最も深刻な、感染が拡大しているというところに引き上げていまして、感染者数も一時200人以上続いたり、今日は165人確認しているようですけれども、そういったものも踏まえた上で先ほどのような大きなものにはなっていないというご認識だという理解でよろしいでしょうか。 黒田:これは世界的に見ていわゆる第2波がどうかっていう議論になると思うんですけども、日本を含めたアジアの場合は、非常に急速に収束させることができて、非常に人口当たりで言うと極めて低い感染率のところまできていたわけですね。その後、日本だけでなくてアジアの幾つかの国でやはりまた増えていると。あるいはオーストラリアのように、ほぼ収束してたのにまたちょっと増えてきたということで、一部でロックダウンのようなことを再開するというようなこともありますけれども、全体として見て、いわゆる第2波というようなものになっているとは、感染症の専門家は今のところは言っておられないと思います。 ただ、いずれにせよ治療薬やワクチンが開発されて広く接種できるようになるまでは、やはりソーシャルディスタンスとか、必要に応じて店舗の休業要請するとか、そういう形で対応していくしかないわけですので、感染の状況、それから、それが経済に対する影響がどうかということはやはり十分注意していく必要があるというふうには思っております。どうぞ。
金融機関の株主還元への認識を聞きたい
ニッキン:すいません、ニッキンの【タダ】と申します。金融システムに関連して1点お伺いしたいんですけれども、金融機関の株主還元についてですけれども、FRBですとかECBは銀行の配当ですとかに対して、【提起、勧告】も含めて言及しておられますし、あと日銀もこれまで金融システムレポートで配当性向の高まりですとかを指摘されてきたと思うんですけれども、昨今の情勢で利益の重要性が結構増していると思うんですが、あらためて金融機関の株主還元に対する総裁の認識をお伺いできればと思います。 黒田:ご案内のとおり、欧米の企業、特に金融機関については、わが国の金融機関などに比べるとかなり配当性向が高いっていうか、あるいはいろんな株主還元をかなり手広くやってこられたということがありますし、他方で、わが国の企業あるいは金融機関の経営者の方々は比較的、慎重に行動されてきたということで、企業や金融機関の資本や流動性っていうのは相当手厚く持っておられたということがありますので、今回のような事態に対して欧米の企業や金融機関よりも、よりスムーズに対応できているというふうに思っております。 ただその上で、やはり金融機関、あるいは企業としても、今後、当面のこのコロナウイルスによる感染が経済活動に深刻な影響を与えているわけですので、その状況が長引いたりすれば企業あるいは、さらには、ひいては金融機関の経営にも影響を及ぼす可能性がありますので、その辺りは十分慎重に状況を計って、従来同様な慎重に行動をしていただくことが必要だというふうに思っております。ただ、今の時点で何か日本の金融機関に配当を止めなさいとか、その他の株主還元策をやめなさいと言う必要があるというふうには必ずしも考えていません。 【書き起こし】日銀・黒田総裁会見7月15日 全文2へ続く