日銀・黒田総裁会見7月15日(全文1)新型コロナで景気は極めて厳しい状態
第2波リスクへの認識を聞きたい
日本経済新聞:日本経済新聞の【斉藤】と申します。よろしくお願いいたします。先行きの経済であったり金融市場のリスクについて2点ご質問いたします。1つが、コロナの第2波についてなんですけれども、前回の会見では第2波というよりも新興国の感染拡大のほうが一番大きなリスクではないかというご指摘をされていたかと思います。一方で、その後を見ていますと国内外、日本であったりアメリカでまた感染者が増えているという話だったり、営業の自粛みたいな話もまた出てきているかと思いますが、この第2波のリスクに対するご認識であったり、あるいは今後の政策的な備えをどう考えるかというところについて教えてください。 併せて、香港を巡って米中の対立が今、激しくなってきているところかと思いますが、こちらについても先行きによっては世界経済、金融市場に揺さぶるリスクになるのではないかと思うのですが、現時点の総裁のお考えについてお願いいたします。 黒田:第2波うんぬんっていうのは依然として1つの懸念としてあるということは感染症学者の方なんかが言っておられるわけですのでそのとおりだと思いますが、現時点で日本含むアジアの国で、一部で若干、ほぼ収束していたところでまた感染が増えているっていうことはありますけれども、第2波というような大きなものにはなっていないと思います。 他方で、新興国はまだまだご承知のように、ブラジルとかインドとか、感染が引き続き拡大していますので、こちらの問題は依然として大きいというふうに思っていますが、先進国では米国を除けば感染が大きく再拡大している、収束したあとでまた再拡大しているっていうことはないように思っております。また、アメリカの場合もこれ、第2波なのかどうかっていうのは定義の問題かもしれませんが、日本やアジアと違って完全に収束させる前にまた増えてきていますので、まだ第1波の中の話かもしれません。 香港については非常に政治的な問題でもあるので私から何か具体的なことを申し上げるつもりはないんですけども、香港は金融市場としてアジアで依然、非常に重要な市場でありますし、その推移というのはアジア全体の金融とか経済にも影響を与えますので、今後どういうふうになっていくかっていうのは慎重にみていく必要があるというふうに思っております。