日銀・黒田総裁会見7月15日(全文1)新型コロナで景気は極めて厳しい状態
V字回復ではなくU字やL字か
朝日新聞:すいません、朝日新聞の寺西と申します。2点お願いします。今後の景気の先行きの見通しなんですけども、いわゆるV字回復というのがなくなって、今回の展望レポートでも書かれていらっしゃるように、そのペースという、改善のペースというのは緩やかなものにとどまると考えられるというご指摘がございますが、V字回復ではなくU字とかL字とか、もうそういうようなイメージの回復になっていくということでよろしいんでしょうか。 もう1点が、先ほど総裁がおっしゃった社債の買い入れについてなんですけども、おっしゃるとおり社債の発行高というのは6月なんかはすごい増えていまして、社債市場の改善には確かにつながっていると思うんですが、一方で、いわゆる市場機能の低下という面で、市場の機能の低下ですね。日銀が大量に買い入れていることで、日銀が買い入れる社債がマイナス利回りになっているということで、リスクに応じた、いわゆる金利の調整という市場の機能というのが低下しているのではないかという懸念の声が聞かれるんですが、この点について総裁はどうお考えでしょうか。よろしくお願いします。 黒田:まず第1点の経済の見通しですけれども、今回の展望レポートその他にも示されておりますとおり、すでに足元で回復のいろいろな兆候が見られておりまして、ある意味で言うとかなりの急速な回復というふうにみられますけれども、これは非常に大きく落ち込んだところから急速に回復しているんで、それがずっと続くかどうかっていうのは議論のあるところで、むしろわれわれとしてはその後、回復は緩やかなペースになるというふうにみているわけであります。
緩やかだが着実に回復すると見ている
ただ、そうした下でもこの展望レポートの中にもありますとおり、今年度はマイナス成長になりますけれども、来年度はかなり強く回復して、再来年度、22年度も1%台半ばっていうことで持続的な成長経路に戻っていくというふうにみていますので、UかV字かとかいろいろ議論はあると思いますけれども、緩やかではあるけども着実に回復していくというふうにみています。 それから社債のうんぬんというのは、CPについても社債についても金額自体は、それはFedとかなんかが買い入れてる額よりも小さく見えますけれども、確かに社債やCPの市場の大きさに比べると日本銀行の買い入れはかなりの規模になっておりまして、そうしたことも【アルリョウベドコトナリ】、CPや社債のスプレッドも拡大したのか、まったく元のように小さなものになっているという意味で、非常に有効な市場の安定化につながったというふうに思っております。市場機能の低下うんぬんというのは、確かに長期的に見てそういう議論があるということは事実だと思いますけども、今、足元で何か社債あるいはCPについても市場機能が大きく低下してうんぬんということはないように思っています。それは市場規模全体に対して、まだCPや社債の買い入れっていうのは、アメリカよりも相対的に大きいわけですけども、それ自体はまだまだ市場規模全体から見るとそれほど大きなものではないわけでして。ご承知のように国債は市場規模の半分ぐらいもう日本銀行が買い入れてるっていうことで、国債市場についてはそういう議論も一部にあることは事実ですけど、社債市場について今、市場機能低下うんぬんっていうことで議論になっているとは思っておりません。どうぞ。