手軽で驚くほど効果的な「レジスタンス運動」とは 血圧から骨、炎症、抑うつ、不安まで改善
どこでもできて、少しの抵抗だけでも十分な効果、心身ともにいい影響
フィットネスの助言といえば、有酸素運動の効果を説く話なら何度も耳にしたという人は多いだろう。サイクリングやランニング、ジョギング、ウォーキングなどの運動の勧めはありふれているが、もっとウェイトトレーニングや腕立て伏せをしようと呼びかけられることはあまりない。だが、健康を保つには、レジスタンス(抵抗)を利用したトレーニングもまた重要だ。 「病気を生む顔」になる食べ物とは 画像5点 「レジスタンス運動(レジスタンストレーニング)」とは、器具や自分の体重が生み出す抵抗を利用して筋肉を強化するトレーニングのことを指し、数多くの驚くべき健康効果が得られる。例えば、寿命を伸ばす、不安や抑うつを軽くする、バランスと柔軟性を強化する、体重管理を助ける、けがのリスクを減らす、血圧やコレステロール値を改善する、心臓の健康を向上させるなどだ。 「適切に設計されたレジスタンス運動プログラムは、体の動きやすさ、身体機能、日常生活の動作や運動競技のパフォーマンスを向上させるだけでなく、高齢者の自立した生活の維持にも役立ちます」と、米スタンフォード大学医学部の物理療法およびリハビリテーションスポーツ治療の責任者で医師のマイケル・フレデリクソン氏は言う。 こうした利点があるにもかかわらず、レジスタンス運動はボディビルダーやジム通いを趣味にしている人にしか意味がないと考える人たちもいる。 「最近まで、有酸素運動が健康の増進に役立つとして注目を浴びる一方で、レジスタンス運動は、世界の公衆衛生政策に組み込まれない傾向にありました」と、米ミネソタ大学公衆衛生大学院で心血管疾患を研究するDJ・マクドノー氏は説明する。「しかし、レジスタンス運動が有酸素運動とは独立して健康上の利益を数多くもたらすことを示す証拠が、長年の間に積み上げられてきました」 こうした理由から、今では米疾病対策センター(CDC)をはじめとする米国の保健機関によるガイドラインで、有酸素運動に毎週75~150分を費やすことに加えて、少なくとも週2日の筋力トレーニングが推奨されている(編注:日本の厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」でも、2~3日に一度、週あたり2~3回の頻度でレジスタンス運動を行うよう勧めている)。