手軽で驚くほど効果的な「レジスタンス運動」とは 血圧から骨、炎症、抑うつ、不安まで改善
メンタルにもよい
レジスタンス運動は、睡眠の質の改善などの効果によってメンタルヘルスを向上させる。チオリーノ氏によると、脳の海馬の変性予防にもつながるという。海馬は学習や記憶で重要な役割を果たす部位だ。 レジスタンス運動がホルモン調整に及ぼす影響は、疲労の予防や気分の高揚にも役立つ。「筋力トレーニングが、うつ病や不安症の発症率を下げる可能性を示す新たな証拠も見つかっています」とシロマ氏は言う。
軽い負荷からまずやってみる
さまざまな利点を理解していても、レジスタンス運動にはジム通いや特別な器具が必要になると考えて、二の足を踏む人もいるだろう。 「実際のところ、筋力トレーニングは一部の有酸素運動よりも始めやすいと言えます。自分の体重やレジスタンスバンドがあれば、どこにいてもできるからです」とシロマ氏は説明する。 マクドノー氏が勧めるのは、まずは自分がいちばん魅力を感じるトレーニングを選んでみることだ。 たとえば、近所のジムでウェイトトレーニングを行うのもいいし、ダンベルを買って家で持ち上げてみるのもいいだろう。ウェイトを使うときには、「1セットの終わりに筋肉が疲れている程度」を目安にするといいと、チオリーノ氏は言う。ただし、適切なテクニックを学ぶことと、すぐに重いウェイトを持ち上げようとしないことが重要だ。「軽い負荷から初めて、徐々に重量と回数を増やしていってください」と氏は助言する。 レジスタンスバンドはオンラインでも近所の小売店でも買えるうえ、使い方を知るのも簡単だ。レジスタンス運動では、「少しの抵抗だけでも十分な効果を得ることができます」とレネキー氏は言う。 ガイドラインでは、週に2回、少なくとも30~60分間の筋力トレーニングを推奨していることが多いが、フレデリクソン氏は、何もしないよりは、ほんの少しでも実行するほうがずっといいと強調する。 チオリーノ氏もこれに同意する。「完璧なプログラムにこだわらず、これなら続けられると思えるルーティンを始めるほうがはるかに有益です」。どんなルーティンを選ぶにせよ、「レジスタンス運動は、フレイル(加齢によって弱った体)になるのを防ぐ手段になります」
文=Daryl Austin/訳=北村京子