空き巣犯は表札に“マーキング” 冬は事件が増加 “狙われやすい家”の特徴&防犯対策を元警視庁捜査官・刑事が解説
空き巣に狙われやすい家の特徴とは?
警察庁によると、2023年の「侵入窃盗の発生場所別認知件数」の割合は一戸建て住宅が30.5%と最も多く、一般事務所(9.7%)、生活環境営業(8.1%)、3階建て以下の共同住宅(7.3%)、商店(6.3%)、4階建て以上の共同住宅(3.8%)と続いています。 この際の侵入窃盗には、空き巣以外にも住民が就寝中に侵入する忍び込みなど他の手口が含まれることには注意していただきたいです。以上の内容から、狙われやすい家は戸建てが多いと言えます。 しかし、高層階でも無施錠の玄関やベランダから侵入する手口も発生しているため注意が必要です。 空き巣犯が狙いやすい家の特徴は次の通りです。 (1)不在の時間が長い世帯 当然ながら、空き巣犯としては狙いやすい家となります。また、不在を示すサインを出しっぱなしにしている家も防犯への関心がないとして狙われやすいです。 例えば、電気がついていない、洗濯物を夜間も干している、郵便物がたまっているなどです。その他、電気使用量が少ない=電気メーターがあまり回っていないという点も空き巣による判断材料の一つです。古い電気メーターはいまだに回転盤が付いているものがあり、判断されやすいので注意が必要です。 (2)単身世帯、高齢世帯、女性世帯 空き巣犯が侵入した際、仮に住民と出くわしても抵抗力が弱いため、空き巣としては障害となる要素が少ないと判断できます。 (3)施錠をしていない 施錠をしていない世帯はいまだに多く、空き巣からすれば何の抵抗もなく入れます。アパートや高層マンションでも空き巣の被害があるのは施錠をしていない家があるからといった理由もあります。 後述しますが、空き巣は窓を破って入るより、無施錠の玄関口から入る方が気楽です。気を付けなければいけないのは、玄関だけではなく窓の施錠も必要です。プロの空き巣犯は驚くほど身軽に高層部に昇っていくほか、上層階のベランダを伝い、下層階のベランダから侵入するといった犯行も容易に行います。玄関、窓など施錠していない家は狙われやすく、防犯上論外と言えます。 (4)周囲から見えにくい、騒音がある 高い塀で囲われている家や旗竿地(はたざおち)で玄関が奥まっている家、背の高い植木が多いような家は、空き巣犯からすれば周囲からの視線を気にすることなく犯行が行えます。 また、幹線道路や空港などの近くは騒音が多く、窓ガラスを破る際の音も目立ちません。ただし、プロの空き巣犯は驚くほど静かに窓ガラスを破るので、窓を割る音が聞こえるだろうといった油断は要注意です。 (5)侵入する足場がある 空き巣犯は排水パイプや室外機などから容易に上階に昇ることができますが、特に上部に何も置いていない室外機は絶好の足場となります。現に、私が刑事課勤務時に臨場した侵入盗事件や下着泥棒の事件でも、2階が狙われた事件は室外機に足跡が残っていることが多かったです。余談ですが、“大泥棒”と呼ばれる伝説的な泥棒は痩せていて小柄な人物が多いと感じます。 (6)周囲が汚い家 汚い庭やポスト、放置された植木など手入れされていない家は油断が大きいとして狙われやすいです。 「犯罪者はどこに目をつけているか」(清永賢二、清永奈穂/新潮社)で紹介されている天才的と評された大泥棒「猿の義ちゃん」は、堀の落書きや散らばったゴミ、家の前、その周囲に放置されたままの自転車などを見て、「この家は油断がある、入りやすい」と判断すると指摘しています。 もし、皆さんがマンションやアパートを借りる際は、ゴミ捨て場やポスト、駐輪場が汚い所は、まず避けた方がいいです。当然ながら適切に管理されていないと推察されます。