2023年度の「倒産発生率」0.257%、10年間で初めて9地区すべて倒産発生率上昇
2023年度「倒産発生率(普通法人)」調査
コロナ禍が落ち着くと同時に、円安、物価高、人件費上昇などのコストアップが企業にのしかかり、中小企業の倒産が増勢を強めている。企業倒産は2024年4月まで25カ月連続で前年同月を上回り、倒産発生率は2022年度から2年連続で悪化、2023年度は0.257%(前年度0.196%)に上昇した。2014年度以降の10年間では、2015年度の0.260%に次いで4番目の高さとなった。2024年度の企業倒産は1万件を超える可能性が高まっており、倒産発生率の上昇が見込まれる。 「倒産発生率」は、国税庁の内国普通法人(292万2,972件、以下、普通法人)と、東京商工リサーチ(TSR)が集計した2023年度の企業倒産のうち普通法人(7,529件)を基に算出した。 倒産発生率ワーストは、島根県の0.374%(前年度0.249%)で、3年ぶりのワースト。次いで、秋田県0.366%(同0.242%)、宮城県(同0.252%)と群馬県(同0.186%)の各0.339%。前年度ワーストの富山県は0.303%(同0.257%)で、0.046ポイント悪化したが8番目となった。 一方、最も企業倒産率が低かったのは沖縄県の0.138%(同0.097%)。次いで、長崎県の0.139%(同0.222%)、山梨県の0.166%(同0.142%)だった。 都道府県別は、45都道府県(同40都道府県)が悪化し、改善は2県(同7県)にとどまった。 産業別は、2年連続で10産業すべての倒産発生率が悪化し、ワーストは運輸業の0.482%(同0.361%)。2024年4月からドライバーの時間外労働の上限規制が強化された「2024年問題」を前に、人手不足や燃料価格の高騰などの影響で、倒産発生率が悪化した。 コロナ禍からの業績回復は二極化が拡大している。さらに、ゼロゼロ融資の返済が始まり、物価高、人手不足や賃上げが企業の資金繰りを圧迫している。こうした状況を背景に、企業倒産は増勢を持続しており、倒産発生率は上昇が見込まれる。 ※本調査は、国税庁の「統計年報書」の法人税課税対象の内国普通法人とTSRの2023年度の倒産集計(負債1,000万円以上)を基に、都道府県別の倒産発生率(普通法人)をまとめた。倒産発生率は、普通法人の倒産件数÷普通法人×100で算出した。分母は国税庁統計法人税表に基づく法人数、分子はTSRの個人企業等を除く普通法人の倒産件数。2023年度の普通法人数は2022年度のデータを採用した。 ※普通法人は、会社等(株式会社、有限会社、合名会社、合資会社、合同会社、協業組合、特定目的会社、相互会社)、企業組合、医療法人を対象にした。