新作85作品から厳選! 「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」の注目作品 10
原倫太郎+原游《阿弥陀渡り》
原広司+アトリエ・ファイ建築研究所が設計を手掛けた越後妻有里山現代美術館 MonET。十日町エリアに位置し、越後妻有を代表するこの美術館では、企画展『モネ船長と87日間の四角い冒険』が開催されている。 本展のキュレーションも担当した原倫太郎+原游は、回廊の中心にある池に制作されたレアンドロ・エルリッヒによる《Palimpsest: 空の池》の上に、水上歩道のような作品《阿弥陀渡り》を設置した。体験者は、エルリッヒが描いた柱のイメージに沿って置かれた歩道を、阿弥陀くじを渡るように動くことができる。夜間はライトアップし、雰囲気が一変する。
ターニャ・バダニナ《白い服 未来の思い出》
MonETの1階では、ロシア出身のターニャ・バダニナによる《白い服 未来の思い出》が目を引く。「『白』は、『追悼、魂の解放、天使の色』」と考えるバダニナは、亡き娘に捧げるシリーズとして始めた「白い服」プロジェクトを世界各地で展開。越後妻有を訪れた際に、畑で働く人々の姿に心打たれたと話し、今回の新作では、妻有の住民の協力で集めた野良着を題材にした「白い服」を展示する。
瀬山葉子《Saiyah #2.10》
「子ども五感体験美術館」をテーマにした松代エリアの奴奈川キャンパスでは、子どもたちが木、光、音といった根源的な要素を五感で体験できる場を創出する。 ベルリンを拠点に活動するマルチメディア・アーティストの瀬山葉子は、光のインスタレーションを制作。プリズムの原理を利用した回転するガラス板を使い、(さまざまな色が混ざった)白色光を分光して再度混合することで、無数の色彩を生み出す。会場では、手に取れる分光ガラスも用意。これを持って、パフォーマンスに参加してみよう。
鞍掛純一+日本大学藝術学部彫刻コース有志《木湯(もくゆ)》
同じく奴奈川キャンパスに入るのは、2004年より《脱皮する家》の制作のため、松代地域に通い、交流を続けてきた鞍掛純一が日本大学藝術学部彫刻コースの有志とともにつくる空間。妻有各地の温泉をイメージした銭湯のようなしつらえの中心には、サクラの木を用いた約4万個の木球に満たされた《木湯》を設置。来場者は、この中に使ったり、会期中にも増えていくという木のおもちゃで遊んだりすることができる。