選手権予選優勝を経て大きくなってきた滝川二の情熱の「炎」。攻守の要DF川上瑠已は鹿島DFのように「ゴールの部分でも活躍できるように」
[11.30 プリンスリーグ関西2部第18節 滝川二高 7-2 近江高B J-GREEN堺S5] 【動画】アウェー中国戦の裏で起きていた珍事…日本代表FWがSNS上の声に反応「わざと」 11月30日、高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2024 関西2部最終節が行われ、滝川二高(兵庫)が7-2で近江高B(滋賀)に快勝。プリンスリーグ復帰1年目のシーズンを3位で終え、選手権へ向けて弾みをつけた。 滝川二は前半6分、この日左サイドでキレのあるドリブルを連発していたMF松元大智(3年)の左クロスが相手オウンゴールを誘って先制。FWからSB転向1年ほどで攻守のキーマンになっているDF川上瑠已(3年)が、「立ち上がりから自分たちの空気にできたら負けないと思うんで、先制点というところをチームとして大事にしていて、先制点が取れたので、勢い持って全員で前半からいけたかなって思います」と振り返ったように、1年生8人が先発した近江Bを圧倒した。 FW空久保善(2年)のヘッドや川上の変化を加えたセットプレーなどで追加点を目指すと16分、MF三宅蔵ノ助主将(3年)の1タッチのスルーパスからMF治部翔(3年)が右足で2点目。一方の近江Bは自陣からドリブル、ショートパスで前進を試みるが、滝川二は切り替えの速い守備で阻止する。 三宅やMF南壮一郎(2年)のダブルボランチのところで回収。そして、「FWよりSBはグラウンド全体を見れるっていうか、そういう部分で自分の特長であるキックっていうところが存分に活かされるのかなと思います」という右SB川上、CB樋渡航(3年)、CB加野陽己(3年)、左SB酒井悠利(3年)の4バックやGK竹本航(3年)から相手を見ながらボールを動かしていく。 滝川二は、三宅の正確な1タッチパスや空久保の収める力も活用しながら強みであるサイド攻撃。前半28分には、三宅の右クロスがそのままゴールネットを揺らして3-0とした。滝川二は前半終了間際にもMF村松風亜(3年)と松元が決め、5-0で前半を終了。後半立ち上がりにも三宅が2点を加えてハットトリックを達成した。 この後も川上やFW鬼追元汰(3年)、松元らが果敢に攻め上がり、ゴールへ。左右両SBを務めた川上は、「関学の卒業生で今、アントラーズの濃野君が、(以前は)自分もあんまり知らなかったですけど、今年J1で8点とか攻撃的サイドバックというところで活躍してるのを見て、濃野君も(大津高時代に)フォワードやってたから、自分も似てる部分っていうのがあるかなと思うんで、そこを目指して今やっています」という。この日はゴール前でドリブルを止められるなど無得点に終わったが、左右両足のキックや「自信はある。負けたくない」という対人守備を含めて持ち味を発揮していた。 チームは8点目のチャンスを活かせず、逆に近江BのDF佐野太治(1年)とMF今井龍成(1年)にゴールを許した。それでも、7-2で大勝。選手権予選決勝では試合開始わずか11分で退場者を出しながらも、延長戦を含めた100分間で失点せず、PK戦で勝利した。この優勝によって、選手たちは自信をつけているようだ。 小森康宏監督は、「あれを経て、彼らはちょっと自信ついたかなと思います。それこそ守備が課題だったんで、自分たちが守れるんだっていうちょっと自信がついたかなと。『1人で2人分、3人分走ろう』っていう声も出てきていて、走り切って守り切れたんで。守りながら攻めにも転じてたんで、これはしっかり評価できるかなと」と頷く。 加えて、この試合によって変わった部分がある。滝川二は伝統的に、該当する学年のチームカラーを表す漢字一文字を決定。今年の漢字は、勝利に対する熱い思いを表現するため、また「自分たちが燃えてできるように。相手に呑まれないような勢いを持ってやれるように」(川上)という意味を込めて「炎」にしたというが、以前はエネルギーを表に表現できる選手が少なかった。 だが、選手権予選決勝では各選手がハードワークを貫徹して勝利。三宅は「やっぱり勝利の執念というか、そういうものは自分たちに2年間足りてなかったんで、今年はそういうもの、情熱も出して行かないとやっぱ勝てないんで、トーナメントになってきて、やっぱりそこは大事にしています」と語り、小森監督は「自分らで決めた1文字やけど、『ろうそくの火のままで終わるんか』っていう話から、選手権取ってちょっと炎になった。その炎をより大きくしようって今、頑張っている」。情熱の「炎」が大きくなってきた滝川二は、選手権初戦で山梨学院高と戦う。 川上は「初戦が山梨学院なんで、相手は前線に強力な選手がいるんで、そこのところを決勝みたいな感じで、チーム全員で協力しながら戦って、1点、2点と取って勝てるようにして、そこから自分たちの実力をどんどん証明できたらなって思います」と力を込めた。 滝川二は16度目の出場だった2010年度の選手権で悲願の初優勝。川上は「そこに自分たちも立ちたいっていう思いはありますし、まず初戦が勢いを持っていくためにも大事だと思うんで、初戦のところにまず集中して、そこはチームとしてやりたいなって思います。(個人としては)ゴールの部分でも活躍できるように」。まずは一戦必勝。注目校は、選手権開幕までの1か月間でシンプルにフィニッシュまで行く攻撃などを向上させるとともに、自分たちの「炎」をより大きくして初戦に挑む。