いつも頼りにされていたはずが、ある日突然「老害」扱いに…。長く支持されるために大切なことは?
厚生労働省の発表によると、1999年から2022年までの間に、一般労働者の平均年齢が39.7歳から43.7歳に上がったそうです。このような状況のなか、流創株式会社代表取締役の前田康二郎さんは「仕事で『メンター』として慕われる人と『老害』として嫌われる人は紙一重」と語っています。そこで今回は、前田さんの著書『メンターになる人、老害になる人。』から一部引用、再編集してお届けします。 【書影】人生100年時代を「メンター」として輝きながら生きるヒントが見えてくる。前田康二郎『メンターになる人、老害になる人。』 * * * * * * * ◆いつも頼りにされていたはずが、ある日突然老害扱いされる立場になる戸惑い 一昔前までは、仕事や教育、スポーツなどさまざまな環境で「スパルタ」も、成果が出る一つの指導方法だという認識がありました。 既に一部の人達からは敬遠されてはいましたが、それでも世間一般の「空気」がそれを認めている風潮がありました。 だから指導する側も「この厳しさは、今はその意味がわからないだろうが、何年か経ったらきっとわかってくれる」と指導し、指導される側も「今はこの厳しさの意味がわからないけれど、この厳しさの先に結果があり、約束された未来があるのだろう」と信じてやっていたわけです。 そしてそれを取り巻く同僚や保護者や世の中も「そういう厳しい世界も一般的とまでは言わないけれど、時にはあるよね」という認識でした。
◆スパルタ指導を認めない風潮 ところが令和の時代になり、今は反転して、世間がこのような指導方法を認めない風潮になりました。 その影響で、指導される側もそれまで無条件に受け入れていた指導方法に疑問を呈したり、拒否したりするようになりました。 そのような状況になって初めて、スパルタを良しとしていた指導者は「あれ、なんか自分に対する風当たりが違うな……」と気付き始めます。 しかし、ベテランの指導者の中には既に長年培った自分のスパルタ指導の「型」がありますから、急に指導方法を時代に合ったやり方に変えろと言われても変えられない、変えたとしてもこれまでと同じように結果が出るのか不安、そもそもその世間の論調の変化自体がおかしいのでは、などと混乱します。 心の整理がつかないまま厳しい指導方法をやめずに続けていると、周囲から批判されたり、指導をボイコットされたりするようになります。 そのような中で、つい「自分はこれまで何も言われなかったのに、急におかしいと言い出す周囲の方がおかしい」などと口を滑らせてしまい「暴言・失言」と騒がれ、あれよ、あれよという間に責任を取る形で退職・解任させられてしまう。このようなことも現実に起こっています。