樋口恵子×下重暁子 歳を重ねたら避けられない<膝の痛み>。樋口「私の場合、なんと20年経ってから古傷が急に…」
◆膝は大事 下重 確かに手術は切るから痛いでしょうけど、小さな痛みも、それはそれで耐えがたいものです。いつだったか、転んで膝をぶつけたことがあって。すごく痛かったので、ひょっとして膝のお皿が割れたかなと心配になって、すぐ病院に行きました。 レントゲンを撮っていろいろ検査をした結果、先生曰く「あなたの膝は丈夫です」(笑)。膝を褒められてもねぇ。 樋口 いやいや、膝は大事ですよ。私は50歳のとき、友人の家の外階段で足を踏み外して、ひどく右膝を強打。幸い膝蓋骨(しつがいこつ)は折れていませんでしたが、手術をするかしないかの境目くらいだ、と医師から言われて。結局、手術はしませんでした。 60代では、雪かき中に左膝をひねってしまい――。その両膝の古傷が、70をすぎた頃から痛むようになったんです。「古傷が痛む」という言葉がありますが、20年もたってから影響が出ることにびっくりしました。幸い、いい整形外科医と出会い、膝関節装具をつくりました。
◆50代からはけがや転倒に注意 下重 サポーターのようなものですか? 樋口 はい。膝関節装具をつけて歩くと、膝に負担がかかりません。でも、部分的に金属を使っているので、飛行機に乗る際は手荷物検査所でいちいち外さなくてはいけないんです。 下重 そのままゲートをくぐると、ピーッと鳴ってしまうのね。 樋口 はい。スカートめくって外すのは面倒だし、あるときなんか、外したまんま進んでしまい「ちょっとそこの方、お忘れ物!」と言われてしまい――思わず「てへっ」と笑って、恥ずかしさをごまかしました。 膝に痛みがあると、歩くのが億劫になり、ついタクシーに乗ってしまう。すると歩かないことで筋力が衰えて、ますます痛みが起きやすくなる。歳を重ねると、そんな負のスパイラルに陥りやすいようです。50代以降は、けがや転倒には注意したほうがいいですよ。 下重 私も3年連続骨折してからは、電車の乗り降り、エスカレーターには注意してます。 ※本稿は、『90前後で、女性はこう変わる』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
樋口恵子,下重暁子
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