「日本経済を支える100歳ビル」に「間もなく消えるレトロビル」も…初開催“建築フェス”で名建築と触れ合ってみた
④堀ビル(1932年築)
続いて訪れたのは港区の新橋駅近く、外堀通り沿いにある「堀ビル」。堀ビルはもともと建具などを販売する堀商店のオフィスとして1932年に建てられたもので1998年には国の登録有形文化財となり、2020年まで同社のオフィスとして利用されていた(現在、建物は同社が保有しているものの本社は千葉県に移転)。 しかし、老朽化が進んだことから竹中工務店などの協力を経てリノベーションを実施。2021年にレトロな外観や内装を活かすかたちで21世紀型のシェアオフィス「GOOD OFFICE新橋」へと生まれ変わった。レトロビルをリニューアルしたシェアオフィスは遠くからでもよく目立つ存在で、「近代建築の新たな活用方法」としても注目されている。 堀ビルで公開されたのは1階のオフィスラウンジ部分と階段室。こちらはあまり並ぶことなく入ることができた。かつて建具を扱う会社のオフィスだっただけあり、照明や階段の手すりなどにも細かいこだわりが。丁寧な細工を間近に堪能することができた。
⑤国際ビルヂング(1966年築)
新橋から再び千代田区へと戻り、日比谷に到着して最初に向かったのは1966年に竣工した「国際ビルヂング」。国際ビルヂングという名前には馴染みがないかも知れないが、「帝劇のある建物」(正確には2つのビルの合築)と言われればピンとくる人が多いだろう。 国際ビルヂングは特別公開されている場所がある訳ではなく、共用部であるエントランスに建物の来歴などが展示されていた。とはいえ、昭和レトロ感満載のエレベーターホールの美しいモザイク画や星をイメージしたような照明を堂々と撮れるのは「建築祭」という大義名分あってこそだ。 最初に述べたとおり、この国際ビルヂングと帝国劇場ビルは老朽化のため2025年2月ごろに閉館し、再開発が予定されている。日中ならば共用部のエレベーターホールは自由に入ることができるため、建築祭で見逃した!という人はお早めに。