「日本経済を支える100歳ビル」に「間もなく消えるレトロビル」も…初開催“建築フェス”で名建築と触れ合ってみた
⑥新東京ビルヂング(1963-65年築)
続いて向かったのは国際ビルヂングのすぐそばにある「新東京ビルヂング」。こちらも国際ビルヂングと同じく三菱地所による1960年代築の昭和レトロビルで、共用部で建築祭の展示が行われていた。 ちなみに、国際ビルや新東京ビルが建築される前にあったのは三菱グループが中心となって明治時代に造り上げた「一丁倫敦(いっちょうロンドン)」と呼ばれる赤レンガの街並みだったそう。当時の写真も展示されており、「文明開化の時代」から一気に「近代化的オフィスビル街」へとタイムスリップしたことが分かる。 先述したとおり、国際ビルや新東京ビルの近くには同じく三菱地所が管理しており2023年10月に閉館したレトロビル「有楽町ビルヂング」「新有楽町ビルヂング」の姿もあった。これら2棟は再開発のため2024年中に解体される予定となっている。もし建築祭が1年早かったならばこれらの建物も見学できたかも知れない……と悔やまれる。 周囲のビルが再開発で生まれ変わろうとするなか、この新東京ビルは現在お色直しの真っ最中。リニューアル工事は上層階のオフィス部分・下層階の商業施設部分の双方で行われており、2024年11月に全館完成する予定だ。竣工から60年を迎えた昭和のオフィスビルは、これからも有楽町・丸の内の人々に親しまれることだろう。
⑦明治生命館(1934年築)
千代田区丸の内、皇居外苑濠沿いにおけるシンボル的存在の1つである「明治生命館」は1934年に竣工した現役の大型オフィスビルだ。外観はコリント式の柱が並ぶ古典主義でありながら設備は当時最新式であったという。戦時中は大型建物の建築が難しくなったうえ過度な装飾なども禁止されたため、戦前におけるオフィスビル建築の最高傑作の1つといえる。 終戦後は1956年までGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)に接収され、1956年まで米空軍の極東司令部などが入居していたという過去も。現在も明治安田生命がオフィスとして利用しており、1997年には国の重要文化財に指定されている。 東京建築祭では、明治生命館と接続されている明治安田生命ビル(2004年築)の共用部に案内パネルが設置されていたため、「明治生命館の裏側」を見ながらかつての丸の内の姿を知ることができた。