カーリングのソチ五輪金メダル”強豪”カナダを破ったロコ・ソラーレ初勝利から見えたメダルの可能性とは?「4年でみんな成長」
試合後のインタビューで、鈴木が思わず声を弾ませた。 「今シーズンはそれを一番の目標として戦っているので、その集大成を見せたい」 身長146cmの鈴木が言及した「それ」とは、労力を要するスイープを指す。身長152cmの吉田夕とともに小さな体をフル稼働させ、驚異的な回転力で氷面を磨き続ける姿は、いつしか外国勢から「クレイジー・スイーパーズ」と畏怖された。 勝負どころとなった第8エンドを含めて、ストーンのスピードや進んでいく方向を自在に調整する大仕事を完遂した吉田夕も笑顔で鈴木に続いた。 「昨日の反省を生かして、今日のアイスはどんな状態だろうという感じで。昨年12月にオランダでやったときよりはだいぶ可愛いというか、素直なアイスでした」 9ヵ国が参加して、昨年12月にオランダで開催された北京冬季五輪の世界最終予選。日本代表として臨んだロコ・ソラーレは1次リーグで3位に食い込み、宿敵・韓国とのプレーオフ1を8-5で制して出場権を得た。 さかのぼれば昨年5月にカナダで開催された、世界女子カーリング選手権で6位以内に入れば北京冬季五輪の出場件を自動的に獲得できた。しかし、日本選手権覇者として出場した北海道銀行(現フォルティウス)は残念ながら11位だった。 その北海道銀行との世界最終予選代表決定戦を、ロコ・ソラーレは連敗からの3連勝と驚異的な巻き返しを見せて制した。日本選手権決勝で敗れた借りを返し、さらに世界最終予選を勝ち抜いた過程で磨かれたメンタルは、確実にいまへとつながっている。 ここまで記したことからもわかるように、カーリングの場合、冬季五輪や世界選手権にはチーム単位で出場する。日本は平昌五輪1次リーグでカナダに3-8で敗れたが、当時のチームにカナダの国内予選で敗れたジョーンズは名を連ねていなかった。 カーリング界のレジェンド的な存在であるジョーンズへ、憧憬の思いを抱き続けてきた吉田知は五輪の大舞台で邂逅できた喜びをこう語っている。 「チームジョーンズは誰もが知っている素晴らしいカーリングチーム。五輪で対面できたことにすごく感動していますし、なおかつ勝てたことはすごく大きいと思っています」 藤澤もジョーンズに憧れてきた。ただ、ソチ五輪で頂点に立ったチームジョーンズを倒した感慨に浸っているわけにはいかない。試合後にはこんな言葉をつけ加えた。 「勝った試合でも反省点はあるので、浮かれすぎずにしっかり集中して次に臨みたい」 カーリング女子1次リーグは、出場する10ヵ国が総当たりでまず戦う。しかも世界選手権の上位6位までと開催国中国、そして世界最終予選を勝ち抜いたイギリス、日本、韓国を加えた10ヵ国はそのまま世界ランキングの上位10傑となった。