「給与デジタル払い」が一部でスタート。企業や従業員にとって、どのような「メリット」があるの?
給与デジタル払いとは、従業員の給料をスマートフォンアプリの決済(以下スマホアプリ決済)アプリや電子マネーなどのデジタルマネーで支払うことです。2022年に、厚生労働省が労働基準法施行規則の一部を改正する省令を公布し、2023年4月から全面的に給与デジタル払いが解禁となりました。 そこで今回は、給与デジタル払いが導入された背景や導入する際の注意点を解説します。企業側と従業員側でのメリット・デメリットもご紹介しているため、参考にしてください。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
給与デジタル払いが導入された背景
給与デジタル払いが導入された背景には、キャッシュレス決済の利用率の増加が関係しているようです。経済産業省が公表している過去5年間のキャッシュレス決済比率の推移は、表1の通りです。 表1
※経済産業省「2023年のキャッシュレス決済比率を算出しました」を基に筆者作成 表1から毎年キャッシュレス決済の割合が増えていることが分かります。また、キャッシュレス決済の内訳を見ると、クレジットカード支払いが最も多く、次いでコード決済、電子マネーとなっています。 このような時代の流れと今後さらなるキャッシュレス化が進む可能性も踏まえて、給与デジタル払いが導入されたと考えられます。
給与デジタル払いを導入する際の注意点
給与デジタル払いを導入する際は、企業側と従業員側の双方による労使協定の締結を行う必要があります。企業側の一存や従業員側の希望だけで自由に選択できるわけではない点に注意しましょう。仮に企業側が従業員の同意なしに、給与の支払い方法をデジタル払いに変更した場合、労働基準法に違反し罰則の対象となる可能性があります。 また、給与デジタル払いを導入する場合は、厚生労働省が指定した資金移動業者のみしか利用できない点も認識しておきましょう。2024年11月30日時点で80社の業者が登録されています。例えば、PayPay株式会社や楽天Edy株式会社、LINE Pay株式会社などが登録されています。