なぜ横浜DeNA牧秀悟は史上初の新人サイクル安打を達成したのか…“虎”佐藤へのライバル心と“番長”が仕掛けたチーム内競争
そのライバルであり、良き友、同志でもある佐藤が、「牧の凄さ」として語るのが「逆方向の打球が打てること」である。牧が阪神戦でガンケルから右方向へ打った一発が怪物ルーキーの記憶に刻まれているという。 牧の長所は、思い切りと、どんなボールに対しても、崩されることが少なく、自分の形で振り切れることにある。そして、その佐藤が絶賛する、センターからライトへの打球が、1年目からプロで結果を出している理由。14本塁打中、4本が右方向だ。ここに打球が飛ぶのは、バットコントロールによる小技ではなくボールを引きつけて体に近いポイントで軸がぶれることなく正しいバット軌道で振り切ることができているから。最高の角度で打球が逆方向へ飛んでいくのだ。 牧の打率は.292と再び急上昇してきた。セ・リーグの新人王争いは、超激戦で、23本塁打の佐藤に加え、広島の守護神、栗林、そして盗塁争いでトップに立つ阪神の中野もいるが、サイクル安打の達成は大きなアドバンテージになるだろう。今後、打率3割を超え、首位打者争いでもすれば、牧が新人王レースを大まくりで制する可能性も十分にある。 「明日?こういう勝ち方はもしかしたらできないかもしれないが、相手より1点でも多く取って1点でも守って勝ち越せるように頑張っていきたいと思う」 牧が根底に持つチーム貢献への気持ちがその原動力となる。