日本の生成AI新興「サカナAI」、エヌビディアなどから1億ドル超を調達
米グーグル出身の研究者らが設立した日本の人工知能(AI)スタートアップ企業、Sakana AI(サカナAI)は9月4日、エヌビディアを含む投資家が参加した資金調達ラウンドで合計1億ドル(約145億円)超を調達したと発表した。 同社のシリーズAラウンドは、米国のベンチャーキャピタルであるNEA(ニュー・エンタープライズ・アソシエイツ)やKhosla Ventures(コースラ・ベンチャーズ)、Lux Capital(ラックス・キャピタル)らが主導した。設立1年目のサカナAIは、4日の声明で、AI研究やデータセンターへのアクセス、日本におけるAI人材の育成においてエヌビディアとも提携すると発表した。同社は、新たな資金をチームの拡大と、より小型でコスト効率の高いAIモデルの開発に充てるとしている。 エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは声明で、「サカナAIのチームは、科学的発見を自動化し、スピードアップするための最先端の基礎モデルを開発することで、日本におけるAIの民主化を促進している」と語った。 サカナAIは、膨大な量のトレーニングデータを使用して大規模なAIモデルを構築するOpenAIのようなAIスタートアップとは異なり、より少ないデータで小さなモデルを開発し、それらを連携させることで高い効率性を実現している。同社の社名は、魚のような小型の動物が連携して働く様子から着想を得たものという。同社はこれまでに、画像生成を含むアプリケーション向けの3つのAIモデルをリリースしている。 サカナAIは1月に、ラックス・キャピタルが主導し、コースラ・ベンチャーズが参加したシードラウンドで3000万ドル(約43億円)を調達していた。同社の他の投資家には、ソニーやNTTグループ、KDDI、グーグル最高AI責任者のジェフ・ディーン、Hugging Face(ハギングフェイス)共同創業者のクレマン・ドランジュ、AIユニコーン企業Scale AI(スケールAI)共同創業者のアレキサンダー・ワンが含まれる。 サカナAIは、元グーグル社員のデビッド・ハとライオン・ジョーンズ、外務省出身の伊藤錬によって設立された。ハは、同社を共同創業する以前にはグーグルの研究開発部門であるGoogle Brain(グーグルブレイン、現Google DeepMind)に所属し、ジョーンズは、OpenAIのChatGPTなど、人気のAIプロダクトの基盤となった画期的な研究論文を共同執筆した人物だ。伊藤は、英国のAIスタートアップであるStability AI(スタビリティAI)のCOOや、メルカリ欧州部門のCEOを務めた経験を持つ。
Zinnia Lee