住民説明会450回以上、リサイクル率は驚異の84% 日本一のリサイクルの町、鹿児島県大崎町の取り組み
50種類程度に細分別されたごみは、再生可能な資源として各業者に売却され、リサイクル製品として生まれ変わります。 藤田「リサイクルセンターができたことで、約40人の雇用が生まれ、さらにシルバー人材センターの方の働き口にもなっています」 また、大崎町では、ごみ処理事業にかかる一人当たりの費用が、全国平均1万6400円のところ、9364円に抑えることができているといいます。さらに、資源の売却によって得られる売却益は年間でおよそ725万円になり、収益はすべて、町のために活用されています。
藤田「たとえば、大崎町リサイクル未来創生奨学金は、奨学金を取得して大学へ通った後、10年以内に大崎町に戻ってきた子どもたちの保護者に対して、最大で元金と利子の返済を全額補助する奨学金制度です」 住民による分別には住民の労力や時間を要しますが、それらが住民に還元されるシステムができあがっていました。
「サーキュラーヴィレッジ・大崎町」の構想
分別前と比較すると、20年取り組んだ後の2017年には埋め立てごみの8割以上の削減に成功しています。 埋め立て処分場の40年の延命にも成功した大崎町では、次のフェーズとして、すべての資源が町の中で循環していく「サーキュラーヴィレッジ・大崎町」を掲げて実現に取り組んでいます。
藤田「日本の現在のごみ処理は、最も多いのが焼却で79.4%、リサイクルが19.6%、埋め立てが1%です。 焼却施設の寿命は20年程度ですが、世界のスタンダードが循環型社会に向かうなかで、今後も新たな焼却施設を建設し続けるのは容易ではなくなるという見方もあります。また、大崎町と同じ人口減少地域では、焼却施設の建設や運営への経済負担が大きいことも課題です」 【編集部注】記事内の肩書や情報は、取材時(2024年5月)のものです。 取材・文:MARU 編集:岩辺みどり 写真:工藤朋子 デザイン:山口言悟(Gengo Design Studio)