住民説明会450回以上、リサイクル率は驚異の84% 日本一のリサイクルの町、鹿児島県大崎町の取り組み
行政は住民にこの3つの選択肢を提示しました。1つ目の選択肢である焼却施設の建設には、当時の規模で40億円の費用と毎年1.5億円ものランニングコストがかかることがわかりました。 建設費は国から補助が出るにしても、維持費は町が負担しなくてはなりません。しかし、この先、人口が減っていく傾向のある小さな町にとって、その資金がないのは明らかでした。 救仁郷「そこで2つ目の選択肢として、自治体は新たな埋め立て処分場の建設について検討してみましたが、住民からの賛成が得られずにこちらも断念せざるを得ませんでした。 そこで、できるだけ長く埋め立て処分場を使うために、ごみの量を減らす『延命』の道を選ばざるを得なかったのです」
450回以上の説明会で得た住民の理解
救仁郷さんは、当時高校生でした。住民が選択した埋め立て処分場の延命化ではあったものの、実現は容易ではなく、地元の大人たちが奔走していたのを覚えているといいます。
救仁郷「当時、町の人口は1万6000人ほどで、現在と同じく約150の集落がありました。住民が分別に協力してくれない限り、ごみはリサイクルできず、埋め立て処分場へと運ばれるごみを減らすことはできません。 理解を得るため、役場が約150の集落に対して3回ずつ、合計450回以上の説明会を開催しました。土日や勤務外でも、役場から出向き、丁寧に住民ひとりひとりに説明をしたと聞いています」 その結果、住民も自発的に分別をサポートする動きが生まれます。大崎町には、自治会とは別に、地域の環境を衛生的に保つことを目的とした組織である「大崎町衛生自治会」があります。大崎町でごみを出す人は誰もが衛生自治会員になります。
ごみの回収の日には、ごみステーションに役場の職員も張り付きながらの住民によるごみの分別がスタートしました。最初はペットボトルや缶、びんの分別から始まり、2000年からは16品目の分別を開始、現在は28品目の分別収集が行われています。