強化版「スーパートコジラミ」出現で被害増加中!蘇った“昭和の害虫”のヤバい正体
トコジラミ被害のニュースが話題になっている。トコジラミは戦後の日本で多かった害虫で、近年は強力な薬剤の登場で被害報告は激減していたが、再び日本でもトコジラミに関する相談が増えているという。
今回はこのトコジラミについて、公益社団法人東京都ペストコントロール協会技術委員長の佐々木健さんに教えてもらった。
日本でも増えるトコジラミとは
――日本でも増えているトコジラミって、そもそも何モノなのでしょう? トコジラミはシラミと名前がついていますが、コロモジラミやアタマジラミではなく、実はカメムシの仲間で、戦後日本でもよくみられた害虫のことです。 薬剤の使用や生活環境の変化であまり見られなくなりましたが、近年、保健所やペストコントロール協会はトコジラミに関する相談件数が増えています。 トコジラミの成虫は体は丸く扁平で茶褐色、体長5~8mmほどで肉眼でも確認することができます。 臆病な性格で明るい場所が苦手なので、昼間は寝室のベッドや寝具、カーペット、タンスなどの隙間に隠れていて、夜間に人の手足、首など露出している箇所を吸血するために動き出します。また、アリのように素早く動くのもこの虫の特徴です。 ――トコジラミの成虫が吸血するんですか? 成虫だけでなく、幼虫も吸血します。メスのトコジラミは1日5~6個の卵を産み、2週間ほどで幼虫になります。その後1~2カ月で成虫に成長し、3~4カ月ほど活動します。メスは生涯に、200~500個くらいの卵を産むので、短期間に家の中で数が増えていきます。 ――トコジラミが日本でも増えている理由は……? インバウンドやアウトバウンドで、旅行や仕事などで海外を行き来する人が増えたことが原因の一つと考えられています。トコジラミの成虫や幼虫、卵などがトランクの中や手荷物などに入り込んで持ち込まれています。 またトコジラミ対策に使われていた、ピレスロイド系殺虫剤が効きにくくなった「スーパートコジラミ」の出現も、被害が増えた大きな理由です。 トコジラミは、海外では2000年代に入った頃には社会問題になっていて、英語で「bedbug(ベッドバグ)」というのですが、大発生した地域ではネットでbedbugマップが公開されるなど、被害情報にアクセスしやすい状況になってきています。 ――トコジラミはどこから入ってくるんですか? ゴキブリなどほかの害虫のように、外から単独で徘徊して家に入り込むということはありません。トコジラミは吸血しないと生きられない害虫なので、人が生活している場所に多く生息しています。先ほどお話ししたように、人やその衣服、荷物などに付着して、外から持ち込まれます。