「木」で「汁物」をつくる…!?SNS「理解できない」 進化する作家、40日かけた〝最高傑作〟
本物そっくりの木彫り作品をSNSに投稿し、多くの人を驚かせている木彫りアーティストのキボリノコンノさん(@kibori_no_konno)。木彫りを始めて3年。今度は「木」で「液体」を表現してしまいました。SNSに投稿された動画を見ても「木彫りだと理解できない」人が続出しています。 【動画】「木」でつくられた「汁物」とは? 40日かけた最高傑作
「こんなの見たのは初めて!」
キボリノコンノさん(以下コンノさん)は、2021年から木彫りを始め、作家として活動しています。これまでに洋菓子ブランド・ヨックモックの「シガール」やたこ焼き、カステラなど様々な食品をモチーフに作品をつくってきました。 今回新たに挑戦したのは、「お吸い物」です。 コンノさんがInstagramに投稿した動画は、一見お吸い物……と思いきや、中に入っている具材の三つ葉やかまぼこがひとつずつ外されていき、お椀だけが残ります。液体が入っているように見えたのに、実際お椀のなかは空っぽです。 「こんなの見たのは初めて!」「湯気まで出てるような気がする…」「最後まで見て意味が分からなくて、ん?ってなって木彫りって理解してもう一回見て、やっぱり理解できなくてまた見てる」といったコメントが寄せられ、7万件近い「いいね」がつきました。
どうやったら「透明」を表現できるか
コンノさんは「以前から『汁物』をつくってみたい気持ちがありました」と話します。「『お味噌汁をつくって』という声もいただきましたが、お味噌汁は汁の中が透けていないのでつくれそうな気がしたんです。そこで、透明なお吸い物に挑戦しました」 緑茶やコーヒー、ビールをつくったことはありましたが、いずれも木に色を塗ったり、木目を生かして透明に見せたりしていました。 「どうやったらお吸い物をつくれるか考えるところから始まりました。お吸い物の水面を平らに彫ってつくってしまうと、中の具材は『絵』で表現することになってしまいます。それは違うと思い、立体で透明感を出したい気持ちがありました」 そんなとき、たまたまSNSのタイムラインにお吸い物の写真があがってきたといいます。「水面の周りに輪っかのようなハイライトが入っていて、お吸い物が透明に見える要素はこれかとひらめきました」 「透明な部分を彫らない」作品は初めてのこと。水面の境目にハイライトを入れ、液体が入っているお椀部分の色を濃く塗って調整しました。ゆげも描き、周りの壁が反射して水面に映っている様子も表現したといいます。 「いつも透明な部分を彫って表現していたのに、今回はあるべきものがないというところに新しさがあります」 ポイントになっているのは、お椀自体もいちからつくっている点です。地元の材木店に足を運び、お店の人にイメージを伝えながら材料を選んだといいます。 「お椀をつくるための機械も設計しました。彫った跡を見えないようにするなど、リアルな表現にするためには違和感をいかに消すかが大切です。以前家具のデザインの仕事をしていたので、その経験も生きました」